不動産投資の注意点|9年保有した会計士が解説する実務

不動産投資の勧誘を受けた際に、

「節税になると言われたが本当か?」
「本業に影響なく運用できるのか?」

と悩まれる方は多いのではないでしょうか。

会計士として実務に携わる中で、私自身も9年間不動産投資を保有・運用してきました。
その経験を踏まえ、不動産投資における実務上の注意点を整理します。

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不動産投資は購入時に「成否の90%」が決まる

不動産投資は、購入時点で成否の9割が決まると言っても過言ではありません。

採算が取れない案件に手を出してしまうと、後から修正することは困難です。
立地条件など、あとから変更することができない要素が非常に多いため。

よくあるのは「節税になるから」と言って、キャッシュが出ない物件を紹介するケース。
ワンルームマンション投資など、絶対に手を出してはいけない案件も多いです。

確かに、不動産事業所得がマイナスになって給与所得と相殺でき、結果的に還付が生じることは構造的にはあります。

しかし、そもそも利益が出ない構造で手を出していいのか?
そんなはずはありません。

また、多くの資料で提示される利回りは、ほぼ例外なく「税引きの数字」です。
提案側としては少しでも利回りを良く見せたい気持ちがあるからです。

しかし、実際の投資判断は「税引」で考える必要があります。

税負担を無視するのであれば、投資する資格がないと考えるくらいに思っておきましょう。

また、不動産投資では実にさまざまな経費がかかります。

例えば、以下のようなものです。

購入時

  • 物件取得費
  • 火災保険(地震保険)
  • 不動産取得税
  • 融資事務手数料
  • 仲介手数料
  • 印紙代
  • 司法書士手数料
  • 登録免許税

運用時

  • 減価償却費
  • 借入利子
  • 管理手数料
  • 水道光熱費
  • 賃室募集手数料
  • 修繕費
  • 保険料

売却時

  • 仲介手数料
  • 建物解体費
  • 印紙代
  • 登記手数料

これらを厳密にシミュレーションした上で、採算が取れると判断できた時のみ投資をすべきと思います。

さらに損益計算・キャッシュフロー計算を分けて管理も必要になります。

加えて、周辺地域のヒートマップや、賃料の下落率、入居率などの角度からの検討も必要です。

実際にやってみて思うのは、賃借人が退去すると精神的な負荷が想像以上に重いです。
家賃収入が止まる不安、原状回復費の見積もり、次の入居者探し…。
この「心理的コスト」は、事前に必ず想定しておくものだと感じます。

この心理的なハードルもクリアできるのであれば、投資するのもありかなと思います。

運用期間は、プロに任せた方がいい

運用を自分自身でやるというケースも耳にしますが、基本的にはプロに任せた方がいいでしょう。
本業が別にある場合、自分で管理まで行うのは現実的ではありません。

もちろん、不動産業に専念する、それ一本で行くというのであれば自分自身で運用するのもありだと思います。
しかし、そのような方は多くはないかなと思います。

餅は餅屋と言いますが、その道のプロが存在している理由はそれなりにあるものです。
(税理士も同じだと思いますが)

自分自身で難しい時は、外部の専門家に相談するのも有力な選択肢の一つです。

経理処理を税理士に任せるのもありですが、小規模であれば自分自身でやるのがおすすめです。

勉強にもなりますし、経費の種類などもそこまで多くないので。
(自作アプリを作るのもおすすめです)

出口で初めて「損失か利益か」が決まる

そして一番勘違いしてはいけないのは、不動産投資は、売却して初めて最終損益が確定するということです。

いくら途中で利益が出ているように見えても、最後の売却で失敗すると損失に変わります。
この辺りも認識しておきたいもの。

最終結果が出るまでは、油断しないように気をつけましょう。

不動産投資は、誰にでもおすすめできる投資ではありません。

  • 長期の資金拘束に耐えられる
  • 空室リスクを精神的に許容できる
  • 税務・キャッシュフローを理解できる

こうした条件を満たせる人だけが検討すべき投資だと思います。

安易に「やってみたい!」「儲かりそう!」で手を出さないように注意しましょう。
(ワクワクする気持ちは分かります。私もそうでしたので)

不動産投資の税務については、単発相談で伺うことも可能です。
ご状況を整理したい方は、こちらからご相談ください。
(顧問税理士がいてもご相談は可能です)

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