FAQ No.033

個人名義の車を法人で使う場合、会社の経費にできますか?

ご相談内容
代表者個人が所有する車を、会社の営業や移動にも使用しています。
車の名義を法人へ変更せずに、業務で使用した費用や車の使用料を会社の経費にできるのでしょうか。
私用でも使う場合の考え方も知りたいです。
回答
Contents

結論

代表者個人の名義になっている車でも、法人の仕事に使った分は経費にすることができます。

たとえば、法人の営業や移動で使ったガソリン代、高速料金、駐車場代など。

法人から個人へ実費精算する方法もあれば、
個人から法人へ車を貸し、法人が使用料を支払う方法も考えられます。
※売却する方法もありますが、おすすめしません。詳細は後述。


ポイントは、法人で使った分と個人で使った分をきちんと分けること。

私用でも使っている車の費用を、すべて法人負担にするのはNGです。


比較すると、このようなイメージです。

① 実費精算 ② 個人から法人へ貸す ③ 個人から法人へ売る
向いているケース 法人で使う頻度がそれほど多くない 日常的に法人で車を使う 車自体を法人所有にしたい
法人側の処理 ガソリン代・高速料金・駐車場代など、法人で使った分を精算 個人へ車の使用料を支払う 車を固定資産として計上し、減価償却する
主なポイント 法人で使った部分がわかる記録を残す 「第三者から借りたらいくらか?」を基準に使用料を考える 時価・低額譲渡・個人側の税金などを確認
手続きの負担 少ない 中程度 多い

① 実費精算

向いているケース
法人で使う頻度がそれほど多くない
法人側の処理
ガソリン代・高速料金・駐車場代など、法人で使った分を精算
ポイント
法人で使った部分がわかる記録を残す
手続きの負担
少ない

② 個人から法人へ貸す

向いているケース
日常的に法人で車を使う
法人側の処理
個人へ車の使用料を支払う
ポイント
「第三者から借りたらいくらか?」を基準に使用料を考える
手続きの負担
中程度

③ 個人から法人へ売る

向いているケース
車自体を法人所有にしたい
法人側の処理
車を固定資産として計上し、減価償却する
ポイント
時価・低額譲渡・個人側の税金などを確認
手続きの負担
多い

実費精算の場合

仕事で車を使う頻度がそれほど多くないのであれば、
ガソリン代、高速料金、駐車場代などを、その都度法人で精算する方法がわかりやすいです。

走行記録やETCの利用明細なども残し、法人として使った部分を説明できるようにしておきましょう。

法人が個人から借りる場合

一方で、個人所有の車を日常的に法人で使うのであれば、
個人と法人で賃貸借契約を結び、一定の使用料を支払う方法もあります。

この場合も、車の所有者はあくまで個人です。

法人が車を固定資産として計上して減価償却するのではなく、支払った使用料を法人の費用として処理します。

いくらで借りるか?

車の使用料について、「月○万円なら大丈夫」といった税法上の決まりはありません。

ポイントは「法人が第三者から借りたらいくらくらいか?」です。

同じような車種や年式のカーリース、レンタカーなどの料金を参考にしながら、
法人で使う頻度や期間、税金・保険・整備費などをどちらが負担するかも踏まえて金額を決めると良いです。
※使用料に含める費用と、別途実費精算する費用が重複しないように注意しましょう


注意したいのは、車のローン返済額をそのまま使用料にする方法です。

個人が支払っているローン返済額は、法人が支払う使用料の基準にはなりません。
ローンの元本返済そのものが必要経費になるものではないため、使用料とは分けて考えましょう。

使用料を受け取った個人側の税金

法人から使用料を受け取れば、貸し手である個人側では収入になります。

自動車などの動産の貸付けによる所得は、通常は「雑所得」として計算します。
ただし、社会通念上、事業といえる規模・実態で行っている場合は「事業所得」です。

また、非業務用から業務用へ転用した場合、私用期間中の減価額は法定耐用年数の1.5倍の年数を使い、旧定額法に準じて計算します。

個人から法人へ売却する選択肢はあるか

個人から法人へ車を売却することもできます。

ただ、他の方法と比べると考えることが増えるため、私は通常おすすめしていません。

たとえば、次のような論点が出てくるため、税務上問題がないか検討する必要があります。

  • 売却時点での車の時価の把握
  • 低額譲渡の取扱い
    ※法人へ時価の2分の1未満で売却した場合は、原則として時価で売却したものとして所得を計算します。
  • 個人側での譲渡所得等の取り扱い
    ※通勤用など、生活に通常必要な自動車の売却は非課税となる場合あり
  • 法人側での固定資産管理
    ※車を固定資産として計上し、減価償却が必要

そのため、個人名義のまま使うのであれば、まずは「実費精算」や「車の使用料を支払う方法」を検討するほうがシンプルです。

参考情報・根拠 8件
法令 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第22条
概要
法人の所得金額は益金から損金を控除して計算し、損金には売上原価のほか、販売費、一般管理費その他の費用などが含まれることを定めています。
このFAQとの関係
個人名義の車であっても、法人の業務のために実際に負担する費用について、法人側の損金を検討する際の基本的な根拠となります。
国税庁 No.5202 役員等に対する経済的利益
概要
法人が役員の個人的費用を負担した場合など、法人の行為によって役員に給与を支給したのと同様の経済的効果が生じるものは、役員に対する経済的利益に含まれることを示しています。
このFAQとの関係
代表者個人の車を私用と法人業務の両方で使用している場合、私用部分まで法人が負担すると、役員の個人的費用の負担として給与に該当する可能性があります。そのため、法人業務に使用した部分を区分する必要があることの根拠となります。
通達・告示 法第35条《雑所得》関係 35-2(業務に係る雑所得の例示)
概要
自動車などの動産の貸付けによる所得は、事業所得または山林所得と認められるものを除き、業務に係る雑所得に該当することを示しています。
このFAQとの関係
代表者個人が自分の車を法人へ有償で貸す場合、個人側では受け取る使用料の所得区分を検討する必要があります。社会通念上、事業といえる規模・実態でなければ、業務に係る雑所得として整理する根拠となります。
国税庁 No.2210 必要経費の知識
概要
事業所得や雑所得について、収入を得るために直接必要な費用や業務上の費用を必要経費にできること、家事と業務の両方に関係する費用は、取引記録などに基づいて業務上必要な部分を区分する必要があることを示しています。
このFAQとの関係
個人が法人から車の使用料を受け取る場合、車に関する費用の全額をそのまま必要経費にするのではなく、法人への貸付けに対応する部分を区分して考える必要があることの根拠となります。
国税庁 No.2108 中古資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却
概要
自家用車など、これまで所得を生む業務に使用していなかった減価償却資産を業務用へ転用した場合は、非業務用期間の減価の額を取得価額から控除し、業務使用開始時の未償却残高を計算することを示しています。
このFAQとの関係
これまで私用だった車を法人への貸付けに使用する場合、購入時の取得価額からそのまま減価償却を始めるのではなく、私用期間中の減価を反映する必要があります。非業務用期間の減価額は、法定耐用年数の1.5倍の年数を使い、旧定額法に準じて計算します。
法令 所得税法第59条・所得税法施行令第169条
概要
個人が法人へ譲渡所得の基因となる資産を時価の2分の1未満で譲渡した場合は、原則として時価で譲渡したものとして所得を計算することを定めています。
このFAQとの関係
代表者個人から法人へ車を売却する場合、時価を把握し、低額譲渡に該当しないか確認する必要があることの根拠となります。
通達・告示 所得税基本通達59-3(同族会社等に対する低額譲渡)
概要
法人に時価の2分の1以上の対価で資産を譲渡した場合は所得税法59条の低額譲渡の規定は適用されませんが、同族会社等との取引について所得税法157条に該当する場合は、時価を基準に所得金額を計算できることを示しています。
このFAQとの関係
時価の2分の1以上で売却した場合でも、同族会社等との取引では取引価額の妥当性を確認する必要があることの根拠となります。
国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
概要
資産の譲渡による所得は原則として譲渡所得となりますが、家具、衣服、通勤用の自動車など、生活に通常必要な動産の譲渡による所得は非課税とされています。また、法人へ時価の2分の1未満で譲渡した場合は、時価で譲渡したものとされることも示されています。
このFAQとの関係
個人から法人へ車を売却した場合でも、必ず個人側に課税されるとは限りません。通勤用など生活に通常必要な自動車に該当する場合は、譲渡による所得が非課税となることがあります。

ご自身の状況に当てはめて確認したい方へ

個別の事情を確認しながら判断したい場合は、以下のサービスをご利用いただけます。

Contents