FAQ No.031

賃貸物件を売却するとき、過去のリフォーム代は取得費にできますか?

ご相談内容
賃貸していた建物を売却する予定です。
過去に行った内装工事や外壁工事などのリフォーム費用は、売却時の取得費に含めることができるのでしょうか。
相続した物件の場合の考え方も知りたいです。
回答
Contents

結論

過去に支払ったリフォーム代が、すべて物件を売却するときの「取得費」に含まれるとは限りません。

建物の価値を高めたり、より長く使えるようにしたりする工事は「資本的支出」として取得費の計算に関係します。

一方で、通常のメンテナンスや、壊れた部分を元の状態に戻す工事は「修繕費」とされ、原則として取得費には含めません。


表で整理すると、以下のとおりです。

資本的支出
修繕費
どんな工事?
建物の価値を高める工事や、
より長く使えるようにする工事
通常のメンテナンスや、
壊れた部分を元の状態に戻す工事
具体例
・用途変更のための大幅な改装
・新しい設備の設置
・より性能の高い設備への取替え
・壁紙などの通常の張替え
・壊れた部分の補修
・壊れた部分を同程度の部材で補修
売却時の取得費
取得費の計算に関係する
原則、取得費に含めない

同じ100の支出でも、修繕費ならその年に費用になりますが、
資本的支出ならいったん資産に計上され、減価償却後の残額が売却時の取得費に反映されます。

イメージとしては下図になります。
※説明を簡単にするため、もともとの取得費は0円、リフォーム代100、5年間で均等に減価償却し、3年後に80で売却するものとします。

資本的支出と修繕費の費用計上タイミングの違い

工事内容と過去の確定申告を確認

「内装工事」「外壁工事」といった工事名だけでは、取得費に含めるべきかは判断できません。

見積書や請求書の内訳を確認し、実際にどのような工事をしたのかで判断します。

また、一つの工事の中に修繕費と資本的支出の両方が含まれることもあります。
そのため、明細まで確認することが大切です。

確認しておきたい資料
  • 購入時の売買契約書
  • リフォーム工事の見積書・請求書
  • 固定資産台帳
  • 減価償却の明細
  • 過去の確定申告書 など

賃貸物件の場合は、過去の確定申告でどのように処理してきたかも確認します。
すでに修繕費として経費にした金額を、そのまま売却時の取得費へ重ねて加えることはできません。

資本的支出として資産に計上し、減価償却してきたものについては、売却時点までの減価償却を反映して取得費を計算します。

相続した物件の場合

相続した土地や建物は、原則として、亡くなった方が取得したときの購入代金などを引き継いで取得費を計算します。
相続税を計算するときの評価額を、そのまま売却時の取得費として使うものではありません。

購入時の資料が残っておらず、実際の取得費が分からない場合には、売却金額の5%相当額を取得費とする方法もあります。

ただし、譲渡所得の金額が大きくなる(=税額が高くなる)傾向にあるため、
最後の手段として考えておきましょう。

参考情報・根拠 5件
国税庁 No.3252 取得費となるもの
概要
土地や建物の取得費には、購入代金や建築代金のほか、設備費や改良費なども含まれることを示しています。建物については所有期間中の減価償却費相当額を差し引くこと、事業所得などの必要経費に算入されたものは取得費に含まれないことも示されています。
このFAQとの関係
リフォーム費用のうち取得費に反映できるものと、過去に必要経費として処理した費用を重ねて取得費にできないこと、資本的支出について減価償却後の金額を考慮することの根拠となります。
国税庁 No.1379 修繕費とならないものの判定
概要
通常の維持管理や修理は修繕費となる一方、資産の使用可能期間を延長したり、価値を高めたりする部分は資本的支出となることを示しています。また、名称ではなく工事の実質によって区分することとされています。
このFAQとの関係
内装工事や外壁工事などについて、工事名だけで取得費への算入可否を判断せず、通常の維持管理・原状回復なのか、価値の増加や使用可能期間の延長につながる工事なのかを確認する必要があることの根拠となります。
国税庁 No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期
概要
相続や贈与によって取得した土地・建物を売却した場合、被相続人や贈与者が購入したときの購入代金や購入手数料などを基に取得費を計算することを示しています。取得時期も原則として引き継がれます。
このFAQとの関係
相続した賃貸物件では、相続時の評価額をそのまま取得費とするのではなく、原則として被相続人の取得費を引き継いで計算することの根拠となります。
国税庁 No.3258 取得費が分からないとき
概要
土地や建物の取得費が分からない場合には、売却金額の5%相当額を取得費とすることができると示されています。また、実際の取得費が売却金額の5%相当額を下回る場合も同様の取扱いができます。
このFAQとの関係
相続した古い物件などで、被相続人の購入時の契約書等がなく実際の取得費を確認できない場合の計算方法の根拠となります。
法令 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第38条・第60条
概要
第38条では、譲渡所得の取得費を資産の取得に要した金額と設備費・改良費の合計額とし、減価する資産については減価償却費等を控除することが定められています。第60条では、相続などにより取得した資産について、原則として被相続人等が引き続き所有していたものとして取得費等を計算することが定められています。
このFAQとの関係
リフォームのうち設備費・改良費に該当する部分を取得費へ反映すること、建物について減価償却を考慮すること、相続した資産の取得費を引き継ぐことの法令上の基本的な根拠となります。

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