世の中には、損益計算書(以下、PL)の読み方を解説した資料が数多くあります。
でも、PLだけでは「経営で本当に知りたい数値」を見ることが難しいのです。
ひとりや小さな会社を営んでいる場合、どのように考えると良いかお伝えします。

「経営で本当に知りたい数値」とは何か?
まず、PLで分かる数値とは、
- 前年や前月と比べて、売上が増えた減った
- 黒字になっている、赤字になっている
- 営業利益や経常利益の推移
などといったものです。
しかし、経営で大事なことはここに描かれていません。
本当に知りたい数値とは、誤解を恐れずに言えば、
「利益はいくらか」
ではなく、
「どこまで耐えられるか」
といった観点の数値です。
言い換えれば、
「どこまで耐えられるか」
という安全面の判断材料とも言えます。
もちろん、売上・原価・粗利・販管費・営業利益といった指標がいらないと言いたいわけではありません。
ここには出てこない「別の切り口」での見方も知っておくべきということをお伝えしたいのです。
別の切り口とは、「その費用、止めれますか?」
「どこまで事業が耐えられるか?」
を知るには「固定費」が分からなければなりません。
「固定費」の話を知っている方は多いと思います。
- 賃料
- 人件費
- 水道光熱費
といったものが代表例でしょう。
しかし、これを「適切に分類して、行動と意思決定に使えているか?」は知っているとは別問題です。
なぜか。
それは、
- 固定費の定義があいまい
- 変動費か固定費かグレーなものが混ざる
- どのように分ければいいか分からない
といった理由かなと。
分類できた時のメリット
では、この切り口のメリットを考えてみたいと思います。
①売上が落ちたときの「生存ライン」を出せる
固定費が分かると、
- 毎月いくら稼げば「死なない」か
- 売上が何%落ちたら危険か
が一発で見えます。
考え方はシンプルで、ざっくり
「固定費 ÷利益率=必要売上」
- ここの利益率とは「(売上-変動費)÷売上」です。
- 専門用語では「限界利益率」と言います。
- 下表の利益率20%でご理解いただければ。
と考えればOKです。
数値で流れを追って見ると以下のイメージです。

②「利益が出てるのに苦しい」の原因が特定できる
PLだけだと解像度が低くなりがちですが、
- 固定費が重いのか?
- 変動費が膨らんでるのか?
この2つに分解して思考を整理し、具体的な行動に落とし込めます。
③価格設定・値上げの判断ができる
固定費が分かると、
- 「この値段だと、何件必要?」
- 「値上げで何件減っても大丈夫?」
が計算できる。
小さい会社ほど、ここが効きます。
④固定費を「何ヶ月分持っているか」で安全度を測れる
現預金(+すぐ換金できるもの)に対して
「現預金 ÷ 固定費 = 固定費カバー月数」
これが出せると、心理的なハードルが低くなり、意思決定がブレにくい。
このように変動費と固定費に分解するメリットは多いです。
しかし、会計ソフトを使っても自動で、2分割できるものではありません。
- 事業の深い理解が必要
- 固定費の定義づけ、判断が必要
- 運用ルールを決める必要
などのハードルが存在するためです。
次回は、
・固定費をどう定義するか
・グレーな費用をどう扱うか
といった点を整理してみます。
では、また。