独立すると「源泉徴収」に悩むことはあるのではないでしょうか?
「これは対象になる…?」
「報酬を受け取る側、支払う側でどう変わる…?」
「いくら徴収すればいいの…?」
この記事を読んで、「源泉徴収なんて怖くない!」と言えるようになりましょう。

源泉徴収とは何か?本質を知る
会社員時代であれば、会社が自動的にやってくれていた源泉徴収。
独立すると急に景色が変わります。
給与以外にも、「士業への報酬・原稿料・デザイン料」など、さまざまのモノが対象となります。
まずは、その本質を捉えておきましょう。
「源泉徴収は所得税の仮払、確定申告で精算されるもの」
これが、その本質です。
- 徴収額を間違えたけど大丈夫?
➡確定申告で正しく計算されるので大丈夫です - 源泉徴収されないまま報酬受け取ってしまったけど問題ない?
➡確定申告をして納税すれば問題ありません。
(そもそも源泉徴収の義務は「支払う側」にあります
もちろん意図的に徴収額を間違えたり、ミスが連発すればペナルティがあります。
(※これは主に「支払う側」に課されるものです)
「給与」と「専門家報酬」の比較で構造を確認
相違点|
給与と専門家報酬のケースで、比較をしてみましょう。
| 区分 | 給与 | フリーランス |
|---|---|---|
| ①仮徴収の有無 | 支払う人(=会社)が源泉徴収する | 支払う人が源泉徴収する |
| ②精算の方法 | 原則:会社が年末調整 例外:受け取った個人が確定申告 | 受け取った個人が確定申告 |
| ③関連書類 | 源泉徴収票 | 支払調書 ※支払う人が税務署に出す書類 (報酬をもらう人に渡されるわけではない) |
給与は、支払う人(会社)が精算(年末調整)までやってくれます。
フリーランスの場合、もらった人が精算(確定申告)する必要があります。
ここが最大の違いです。
共通点|源泉徴収の仕組みや思想
制度の目的としては、納税者の利便性というより、
国家が確実に税を集めるために設計された側面が強い制度です。
仮で税金を集めておこう、という仕組みや思想に違いはありません。
この「仮」で、という点がポイントです。
誤ってしまっても、後から正しく精算する余地がある、というのは特徴的な点ですので
押さえておきましょう。
(もちろん、間違えない方がいいですが)
源泉徴収の条件|最低限、知りたいこと
①3つの質問を押さえておこう
源泉徴収義務が課されるのは、
「個人に対して、特定の報酬・料金・給与を支払うとき」
です。
支払い側で迷った時は、以下の3点をチェックしてみましょう。
- 相手は個人?
- これは「報酬・料金」?
- 専門性・表現・権利が絡んでいる?
3つとも YES なら、源泉徴収を疑う。
源泉徴収について、すべての対象を覚える必要はありません。
最低限、上記の問いだけ知っておけばいいでしょう。
②逆の思想も捉えておく(余裕があれば)
そして、反対側の思想を押さえておくことも有用です。
「源泉徴収の対象外のもの・その理由」を知っておくということです。
ひとことで言えば、
「税務署が、後からでも把握しやすいもの」は対象外となっています。
①物や仕組みが残るもの➡商品仕入・システム開発
②法人への支払い➡法人税で後追い可能
③家賃・光熱費➡契約と照合可能
と言った感じで。
③源泉徴収の対象を知る(参考)
源泉徴収の対象は、
「所得税法 第204条(+周辺条文)」に列挙されています。
実務で使うのはそのうち数パターンです。
代表例を下表にまとめておきます。
| 大分類 | 代表的な具体例 | どういう支払いか(判断の芯) |
|---|---|---|
| 給与・賞与 | 従業員給与、役員報酬、アルバイト賃金 | 雇用関係に基づく労務の対価 |
| 士業・専門家報酬 | 税理士、公認会計士、弁護士、司法書士、社労士、不動産鑑定士 | 資格・専門的判断そのものへの対価 |
| 原稿・講演・創作系 | 原稿、執筆、講演、作曲 | 表現・創作行為への対価 |
| 芸能・出演・表現系 | 俳優、タレント、司会、モデル、ナレーター | 人そのものが価値となる出演・表現 |
| 制作+権利系 | 写真、イラスト、ロゴ、デザイン、映像制作 | 制作物に加えて権利の使用・譲渡が含まれる |
| 権利使用料 | 著作権使用料、特許権使用料、商標権使用料 | 権利を使わせることへの対価 |
| 仲介・成果報酬系 | 不動産あっせん報酬、紹介料、成功報酬型広告 | 仲介・紹介による成果への対価 |
| 人的営業・集金系 | 外交員報酬、集金人報酬、検針人報酬 | 人が動いて成果を出す出来高的報酬 |
源泉徴収は、正しく理解すれば怖い制度ではありません。
仮で徴収し、最後は確定申告で精算する。
この構造さえ押さえておけば、実務で振り回されることはありません。