前回の記事では、電子帳簿保存法の全体像を整理しました。
では、実務では何をどう整理すればいいのでしょうか。
- クレジットカードの明細と請求書、どちらを使えばいいのか
- メールで届く請求書はどう扱うのか
- クラウド会計に全部添付すべきなのか
このあたりで迷われている方も多いのではないかと思います。
ポイントは、「現金かクレジットカードか」で分けないことです。
「どこから証憑を取得するか」
で整理した方が、保存漏れや二重計上を防ぎやすくなります。

まずは全体像
最初に全体像を確認しておきます。

入口は「リアル」と「ネット」で区別します。
※ネット取引は主にクレジットカード決済を想定
大切な考えは、
会計ソフトの本質は「箱」ということ。
入口がこれだけあるのに、会計ソフトで完結させようとすると
逆に煩雑になる可能性が高いです。
原則的な考えは、以下の3点です。
- 紙は紙で保管
- データで保管
- 自動で取得できるものだけ、クラウド会計に添付
個人事業や小規模法人であれば、この運用で十分です。
クラウド会計は確かに便利ですが、魔法のツールではありません。
すべて自動化するのではなく、
運用ルールを設計する方が100倍大事です。
ここで迷子にならないようにしましょう。
リアル取引
まずはリアルの取引について。

店頭などで取引があるようなケースを「リアル」としています。
現金やクレジットカード、PayPayなどの決済手段もあり、多様な支払方法があります。
この支払方法ごとにルールを定めると、
キリがありません。
「紙面で証憑を受け取っている取引」
という共通点に目を向けましょう。
これなら、どの支払いであっても同じ区分で分類可能です。
原則的な考え方に戻ってみると「紙は紙で保管」と書きました。
そのとおりで、紙面の証憑はそのまま取っておきましょう。
こういったポケットが分かれているファイルで、
月別に保管しておけば十分です。
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そして日々スプレッドシートなどで、記帳しておきましょう。
習慣になれば、1日5分程度で十分可能です。
1か月分を月次決算時にプログラムで取り込むだけでOKです。
レシートなどを撮影して起票できる機能もありますが、
意外と手間もかかり、クレジットカード側でも起票していると二重計上の可能性があります。
私は使っていません。
ポイントは
- リアル取引用のクレジットカードを用意する(最悪、個人用でも可)
です。
すべて同じカードを使っていると、ごちゃごちゃになりやすいため、
「取引の種類で分ける」ことが大切です。
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自動証憑の取得有無、都度型・月次型で分けて、3つの視点で考えていきます。
①自動証憑の取得ができる取引

現時点で対応サービスは限られますが、
自動化しやすい取引です。
例えば、Amazonビジネスが該当します。
詳細は以下の記事で解説していますので、ご確認ください。
アマゾンビジネスは法人だけでなく、個人事業主でも登録可能です。
https://business.amazon.co.jp/ja/industries/small-business
備品などの購入はAmazonで統一してもいいかもしれません。
②月次で請求内容が固まる取引

例えば、Google広告などの
「プラットフォームから請求書等を発行するような取引」が該当します。
この取引は、クレジットカードやデビットカードとの連携だけだと、
発生日がズレることもあるため、要注意です。
(特に事業年度末は)
たとえば、自動連携の内容を見ると、これです。

一方で請求書は、こんな感じです。

3月分の取引のため、4月に広告宣伝費を計上することは誤りです。
このように「取引の発生」と「支払い」のタイミングがズレる場合、
誤った仕訳になる可能性があるため、月1で確認をしておきましょう。
月を跨ぐ取引があれば、請求書をベースにして日付の更新を行います。
たとえばfreeeであれば、4/2になっているこの取引を3/31に修正します。

自動で未払金を出してくれるので、
クラウド会計は、この辺りは便利かなと。

そして請求書は、「年月日・相手先・金額」をファイル名に付して、Driveに格納しておきましょう。
クラウド会計への保管は不要です。
複数の仕訳に対し、証憑は1つなのでかえって分かりづらくなるからです。
③都度発生する取引

都度、発生する取引(毎月発生するサブスクサービスなども)は、
受領の都度、日次で経理をしておきましょう。
PDFが添付されているようであれば、
②と同様にファイル名を整理して保管します。
メール本文に請求内容が記載されている場合は、
「invoice」などのラベルを付けておくと、後から検索しやすくなります。
また、仕訳の備考欄に該当メールのリンクを残しておくと、帳簿と証憑の対応関係が分かりやすくなります。
なお、この場合はメール自体が原本となるため、無理にPDF化する必要はありません。
まとめ
もう一度、全体像を示しておきます。

この表だけで、すべての取引の処理を網羅できるわけではありません。
しかし、考え方の土台にできるはずです。
大切なことは、
「自分に合った運用ルールの設計をすること」です。
実務では、
「支払手段」ではなく「証憑の入口」で整理することがポイントです。
freee MCPなどで、AIで処理自動化などが叫ばれていますが、
本質は「設計」にあります。
なんでもかんでも自動化するわけではなく、
ご自身に合った方法を見つける一助になれば幸いです。
電子帳簿保存法の運用でお悩みの方へ
電子帳簿保存法は、制度自体よりも「どう運用するか」で悩むケースが多い分野です。
本記事で紹介した内容は一例であり、事業内容や取引の種類によって最適な運用は変わります。
当事務所では、ひとり社長・個人事業主の方向けに、無理なく回る経理・証憑管理の設計をご提案しています。
初回のご相談では、現状の運用を整理し、どこを整えるべきかを具体的にお伝えします。
ご興味のある方は、以下よりお気軽にご相談ください。
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