FAQ No.001

役員報酬を期中で減額できますか?

ご相談内容
会社の業績や資金繰りが悪化しているため、事業年度の途中で役員報酬を減額したい場合、税務上どのように扱われますか?
回答
Contents

結論

事業年度の途中で役員報酬を減額しても、一定の場合には減額前・減額後の給与をそれぞれ定期同額給与として損金にできることがあります。

ただし、単に「売上が落ちた」「利益が予算を下回った」というだけで認められるものではありません。

ポイントは、会社の経営状況などから、役員報酬を減額せざるを得ない事情があったかです。

判断のポイント

法人税上、事業年度途中の役員報酬の減額が認められるケースとして、「業績悪化改定事由」による改定があります。

ここでいう「業績悪化」は、単に売上や利益の数字が前年より下がったという意味ではありません。

一時的な資金繰りの都合や、単なる業績目標の未達成だけでは足りず、会社を取り巻く状況から、役員報酬を減額せざるを得なかった事情があったかを確認する必要があります。

数字でイメージすると

たとえば、月額48万円の役員報酬を、事業年度の途中から月額36万円へ減額するケースを考えてみます。

これはあくまで説明用のモデルケースです。

項目
減額前の役員報酬月額48万円
減額後の役員報酬月額36万円
1か月あたりの減額12万円
残り6か月の場合の支給額減少72万円

この場合、会社から実際に支給する役員報酬は、残り6か月で72万円減ることになります。

しかし、「12万円減らした」「合計で72万円支給額が減った」という数字そのものから、税務上認められるかどうかを判断するわけではありません。

同じ48万円から36万円への減額でも、会社の事情によって税務上の結論が変わる可能性があります。

実務ではどう考えるか

実務では、減額率や赤字額だけで機械的に判断するのは避けた方がよいでしょう。

たとえば、売上が前年より10%減少した会社があったとしても、「10%減ったから業績悪化改定事由に当たる」という基準があるわけではありません。

反対に、赤字に転落したという事実だけで必ず認められるわけでもありません。

重要なのは、数字が悪化した結果として、会社がどのような状況になり、なぜ役員報酬を減額する必要が生じたのかです。

金融機関から経営改善を求められている、主要な取引先との関係から役員報酬の削減が必要になった、資金繰りが急激に悪化した、といった事情がある場合には、その経緯も含めて検討します。

減額する前に確認したいこと

  • 売上・利益・資金繰りがどの程度悪化しているか
  • その悪化が一時的なものではないか
  • 前年や当初予算との比較だけで判断していないか
  • 金融機関・株主・取引先など第三者との関係で減額が必要になっていないか
  • なぜ役員報酬を減額する必要があったのか、資料で説明できるか
  • 株主総会・取締役会等の必要な手続を行っているか

注意点

役員報酬を実際に減額できることと、その減額が税務上の「業績悪化改定事由」に該当することは別の問題です。

また、本文中の48万円、36万円、10%などの数字は、税務上の判断基準を示すものではありません。理解しやすくするための例示です。

期中で役員報酬を変更する場合には、変更後に税務処理を考えるのではなく、できれば実際に変更する前に、減額理由や会社の状況を整理しておくことをおすすめします。

参考情報・根拠 3件
国税庁 No.5211 役員に対する給与
概要
法人が役員へ支給する給与について、定期同額給与などの基本的な取扱いを整理した国税庁の資料です。
事業年度の途中で給与を変更した場合に、どのような改定が定期同額給与として扱われるかを確認できます。
このFAQとの関係
役員報酬を期中で減額した場合に、税務上その変更が認められるかを考える際の基本資料です。
単に役員報酬を実際に減額したというだけでなく、減額の理由が税務上認められる改定事由に当たるかを確認する必要があります。
国税庁 2012年4月 役員給与に関するQ&A
概要
役員給与の改定について、具体的な事例をQ&A形式で整理した国税庁資料です。
業績悪化による減額についても、どのような事情が判断上重要になるのかが例示されています。
このFAQとの関係
「売上が下がった」「利益が減った」という数字だけではなく、株主、債権者、取引先などとの関係も含め、役員給与を減額せざるを得ない事情があったかを考える際の参考になります。
国税不服審判所・裁決 2011年1月25日 平成23年1月25日裁決|役員給与の減額と業績悪化改定事由
概要
事業年度の途中で代表取締役の給与を減額した会社について、その減額が業績悪化改定事由に当たるかが争われた事例です。
業績に一定の悪化がみられたものの、審判所は減額の経緯や会社の状況などを踏まえ、業績悪化改定事由には該当しないと判断しました。
このFAQとの関係
利益が前年より減少しているという事実だけで、役員報酬の期中減額が当然に認められるわけではないことを具体的に確認できる事例です。
特定の減少率が税務上のOK・NGを分ける基準になっているわけではない点にも注意が必要です。

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