結論
婚姻前のパートナーで、所得税法上の「生計を一にする配偶者その他の親族」に該当しないのであれば、婚約しているという理由だけで外注費を必要経費にできなくなるわけではありません。
実際に事業に必要な仕事を依頼し、仕事の対価として適正な報酬を支払い、契約や働き方の実態も外注と認められるのであれば、必要経費として処理できます。
一方、結婚後に生計を一にする配偶者となった場合は取扱いが変わります。
配偶者へ支払った対価は、原則として第三者への外注費と同じようには必要経費にできません。
青色申告の場合は、一定の要件を満たせば青色事業専従者給与として必要経費にできる制度があります。
「業務委託」と書けば外注になるわけではありません
外注か給与かは、契約書の名称だけではなく実際の働き方を見て判断します。
国税庁の通達では、区分が明らかでない場合の判断要素として、
- 他の人が代わりに仕事をできるか
- 発注者から具体的な指揮監督を受けるか
- 仕事が完成しなかった場合の報酬の扱い、材料や用具を誰が負担するか
などを挙げています。
そのため、仕事の進め方を受注者自身が決め、発注者から細かな指揮監督を受けずに仕事を完成させる形は、外注と判断する方向の材料になります。
ただし、一つの条件だけで決まるものではなく、契約と実態を総合して確認します。
まとめて支払っても、支払日だけで経費の時期は決まりません
過去に行ってもらった複数の仕事について報酬をまとめて支払うこと自体が、直ちに問題になるわけではありません。
ただし、必要経費は原則として、その年に債務が確定した金額を計上します。
実際に仕事が行われ、支払う義務が生じ、金額を合理的に算定できる状態になった時期が重要です。
業務内容、依頼日や納品日、報酬の計算方法、請求書・精算書、振込記録など、実際の取引を後から説明できる資料を残しておくとよいでしょう。
仕事内容によっては源泉徴収も確認します
外注報酬のうち、原稿料やデザインの報酬など一定のものは源泉徴収の対象になります。
名称ではなく、実際にどのような仕事の対価なのかを確認する必要があります。
ただし、支払者が個人事業主で給与等を支払っていない場合は、一定の例外を除き、源泉徴収対象の報酬を支払っても原則として源泉徴収する必要はありません。
従業員や青色事業専従者などに給与を支払っている場合には、源泉徴収義務の有無を改めて確認します。
結婚後は「生計を一にするか」が重要です
所得税法では、生計を一にする配偶者その他の親族が事業から対価を受ける場合、その支払額は原則として事業主の必要経費に算入しない取扱いとなっています。
「生計を一にする」とは、単に同居しているかどうかだけで決まるものではありません。
生活費など日常生活の資を共通にしているかを見て判断します。
青色事業専従者給与を利用する場合は、配偶者が専らその事業に従事していること、所定の期限までに届出をしていること、給与額が仕事内容などからみて相当であることなどの要件があります。
配偶者自身が別の事業を相当程度続けているなど、専ら従事しているといえない場合には、要件を満たさないことがあります。
婚姻前から同じ仕事を依頼していたとしても、結婚後は従来の外注処理をそのまま続けず、婚姻後の関係や働き方に応じて処理方法を確認することが大切です。