FAQ No.017

自家用車を事業用に変更した場合、固定資産はいくらで登録しますか?

ご相談内容
プライベート用として購入した車を、途中から個人事業で使い始める場合、購入時の金額をそのまま固定資産に登録するのでしょうか。
私用していた期間や、事業とプライベートで共用する場合の考え方も知りたいです。
回答
Contents

結論

プライベート用として購入した車を途中から事業用へ変更する場合、
購入時の金額をそのまま固定資産へ登録するのではありません。

 購入時の取得価額 - 私用していた期間の「減価相当額」 = 「未償却残高」

この未償却残高をもとに、事業用の固定資産として登録します。

私用していた期間の減価相当額を計算

非業務用資産を事業用へ転用する場合、私用期間中の減価相当額は、

  • その資産の法定耐用年数を1.5倍した年数
  • 「旧定額法」

を使って計算します。


たとえば、

  • 普通自動車
  • 取得価額240万円
  • 購入後3年8か月プライベートで使用
  • その後、事業用へ転用

このようなケースでは、次のように計算します。

大項目 項目 今回の例 考え方
取得価額・
耐用年数
取得価額 2,400,000円 車両の取得価額をもとに計算します。
法定耐用年数 6年 普通自動車の法定耐用年数です。
私用期間の計算 私用期間の計算に
使う年数
9年 6年 × 1.5 = 9年
実際の私用期間 3年8か月 実際にプライベートで使用していた期間です。
計算上の私用期間 4年 1年未満の端数は「6か月以上は1年、6か月未満は切り捨て」とします。
旧定額法の償却率 0.111 9年の旧定額法の償却率を使用します。
転用時の計算 私用期間の減価相当額 959,040円 2,400,000円 × 90% × 0.111 × 4年
事業転用時の
未償却残高
1,440,960円 2,400,000円 − 959,040円

この例では、1,440,960円をもとに事業用の固定資産として登録する、という考え方になります。
※実際には、車両本体だけでなく、購入時の税金や登録関係費用など、取得価額に含める金額を整理したうえで計算します。

購入時の付随費用も確認

計算の前提となる「取得価額」は、車両本体だけを見ればよいとは限りません。

私用資産として取得した固定資産については、登録に要した費用や、取得に伴う一定の租税公課を取得費に加える取扱いがあります。

そのため、購入時の明細を見ながら、次のような項目に分けて整理します。

項目 基本的な処理 事業転用時の考え方
車両本体・付属品 車両の取得価額に含める
※車両を取得するために直接必要となるため
私用期間の減価相当額を差し引き、未償却残高を計算します。
登録関係費用・取得に伴う一定の税金 私用資産として取得した場合は、取得費に含める
※購入時に私用資産だった場合、登録費用や取得に伴う一定の租税公課は取得費に含めます。
その取得費をもとに、私用期間の減価相当額を差し引いて未償却残高を計算します。
自賠責保険料 車両とは分けて「保険料」として処理する
※車両そのものの取得代金ではなく、一定期間の保険に対する支払いだからです。
転用時に保険期間が残っている場合は、未経過期間のうち事業使用分について必要経費への算入を検討します。
リサイクル預託金 「預託金」などの資産として別に管理する
※支払時に費用となるものではなく、リサイクルのために預けている金額だからです。
車両運搬具の取得価額とは分けて登録します。

以上のように、購入時の支払総額をそのまま車両運搬具として登録するのではなく、

  • 車両の取得費に含めるもの
  • 保険料として処理するもの
  • 預託金として管理するもの

に分けて整理します。

事業用へ転用するときの仕訳

個人事業主がプライベート用の車を事業用へ転用する場合、基本的な仕訳は、

「車両運搬具 / 事業主借」

です。

車両運搬具に計上する金額は、購入時の取得価額を整理したうえで計算した「事業転用時の未償却残高」です。

事業とプライベートの両方で使用する場合でも、固定資産の登録額そのものを事業使用割合で減額するのではなく、まず未償却残高をもとに固定資産として登録します。

事業とプライベートで共用する場合

事業用へ転用した後もプライベートと共用する場合には、
減価償却費やガソリン代、自動車保険料などの全額を必要経費にはしません。

走行距離など、その車の実際の利用状況に合った合理的な基準で「事業使用割合」を決め、事業で使用した部分を必要経費にします。
※たとえば、事業で車を使用した際の出発地・到着地を記録し、Googleマップなどで距離を確認しておくのもよいでしょう。

固定資産の登録額を按分するのではなく、
その後の減価償却費などを家事按分する、という順番になります。

転用後の減価償却にも注意

私用期間中の減価相当額を計算するときに使う「法定耐用年数を1.5倍した年数」と、
「事業転用後の減価償却で使う耐用年数・償却方法」は分けて考える必要があります。

事業転用後の償却方法は、事業用へ変更した日ではなく、
その車を実際に取得した年月日をもとに判定します。

また、中古車として取得している場合には、中古資産の耐用年数を使用できる場合があるため、あわせて確認します。

確認しておきたい情報

次のような情報を確認しておくと、検討がスムーズに進められます。

  • 車を購入したときの契約書・請求書
  • 車両本体と税金・諸費用の内訳
  • 車を取得した年月日
  • 新車・中古車の別
  • 事業用として使い始めた日
  • 事業とプライベートそれぞれの使用状況が分かる記録
参考情報・根拠 4件
国税庁質疑応答事例 非業務用資産を業務の用に供した場合
概要
自宅などの非業務用減価償却資産を業務用へ転用した場合について、私用期間中の減価相当額と、転用時の未償却残高の具体的な計算方法を示しています。
このFAQとの関係
非業務用期間について、法定耐用年数の1.5倍の年数と旧定額法を用いて減価相当額を計算し、取得価額から控除して転用時の未償却残高を求めることの根拠となります。また、非業務用期間の1年未満の端数は、6か月以上を1年、6か月未満を切り捨てることも確認できます。
国税庁 No.2108 中古資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却
概要
中古で取得した資産を非業務用から業務用へ転用した場合について、転用時の未償却残高、転用後の償却方法、中古資産の耐用年数の考え方を示しています。
このFAQとの関係
転用後の減価償却方法は転用日ではなく資産の取得年月日によって判定することや、中古資産について簡便法による耐用年数を使用できる場合があることの根拠となります。中古資産の経過年数には、取得後に私用していた期間を含めないことも確認できます。
通達・告示 法第38条《譲渡所得の金額の計算上控除する取得費》関係(38-9 非業務用の固定資産に係る登録免許税等)
概要
非業務用の固定資産について、登録に要する費用を含む登録免許税や、不動産取得税等の固定資産の取得に伴う一定の租税公課を取得費に算入する取扱いを示しています。
このFAQとの関係
私用資産として取得した車について、購入時の登録関係費用や取得に伴う租税公課を、最初から業務用資産として取得した場合と同じ感覚で当時の必要経費として扱わず、購入明細を確認して取得費を整理する必要があることの参考となります。
通達・告示 法第45条《家事関連費等の必要経費不算入等》関係(45-1・45-2)
概要
事業と家事の両方に関係する費用について、業務の内容や資産の利用状況等を総合的に考慮し、業務上必要な部分を明確に区分できる場合には、その部分を必要経費にできることを示しています。
このFAQとの関係
事業転用後も車をプライベートと共用する場合、減価償却費や維持費の全額ではなく、走行距離など合理的な基準によって区分した事業使用部分を必要経費とする考え方の根拠となります。

ご自身の状況に当てはめて確認したい方へ

個別の事情を確認しながら判断したい場合は、以下のサービスをご利用いただけます。

Contents