FAQ No.041

役員個人名義の経費は、法人決算でどう処理しますか?

ご相談内容
役員個人名義で契約・支払いをしている電気代や通信費などを、法人の経費にしています。
決算時点で役員への精算が終わっていない場合、未払費用や役員借入金など、どの勘定科目で処理すればよいのでしょうか。
また、決算後に精算する場合の仕訳も知りたいです。
回答
Contents

結論

役員個人名義で契約・支払いをしている費用でも、
法人の業務に使用した部分は、法人の経費として計上できます。

役員が個人資金で立て替え、決算時点で法人から返金していない場合は、
「役員借入金」で処理して実務上差し支えありません。

その後、法人から役員へ返金したときに、役員借入金を減らします。

役員借入金とは?

役員借入金は、会社が役員から借りているお金や、
役員に立て替えてもらったお金を管理する勘定科目です。

具体例で見る決算時の仕訳

例えば、役員個人名義のスマートフォンについて、次のような状況を考えてみます。

  • 1か月の通信費:12,000円
  • 仕事で使った割合:60%
  • 通信費は役員が個人の口座から支払い済み
  • 会社から役員への返金はまだ行っていない

仕事で使った分を会社が負担する取決めであれば、会社の経費にできる金額は次のとおりです。

 12,000円 × 60% = 7,200円

この通信費をまだ会社の帳簿に記録していない場合は、次の仕訳を行います。

 (借方)通信費 7,200円 / (貸方)役員借入金 7,200円

今回の例では、会社が役員に返すべき7,200円を役員借入金として記録します。
私用部分の4,800円は、会社の経費には含めません。

決算後に返金する場合の仕訳

翌期に会社の預金から役員へ7,200円を返金した場合は、次の仕訳を行います。

 (借方)役員借入金 7,200円 / (貸方)普通預金 7,200円

これで役員借入金の残高が7,200円減少します。

通信費は前期に計上しているため、返金した際にもう一度経費を計上しないよう注意しましょう。

請求金額が決算後に分かる場合

電気代などは、決算日を過ぎてから請求金額が確定することもあります。

この場合でも、決算日時点で次の3つの条件を満たしていれば、当期の経費として計上できます。

  • 会社が費用を負担する義務が成立している
  • 決算日までにサービスを利用している
  • 決算日時点で金額を合理的に計算できる

請求書が後から届いたという理由だけで判断せず、
会社がいつから費用を負担する取決めなのか、金額をどのように計算したのかを確認しましょう。

※役員がまだ立て替えていない場合は、支払いや精算の状況に応じて「未払費用」や「未払金」で処理する方法もあります。

法人の経費にできる範囲

役員個人名義の費用を法人で負担する場合は、
仕事で使った部分と私用部分を分けることが重要です。

先ほどの例では仕事で使った割合を60%としましたが、
実際には利用状況などをもとに、合理的な割合を決める必要があります。

私用部分まで法人が負担すると、その金額が「役員への給与」として扱われ、会社の経費として認められない場合があります。

請求書や仕事で使った割合の計算資料、会社が費用を負担する取決めなどを残しておきましょう。

参考情報・根拠 2件
国税庁 No.5387 販売費、一般管理費その他の費用における債務確定の判定
概要
法人税法第22条第3項および法人税基本通達2-2-12に基づき、販売費・一般管理費などの損金算入について、決算日までに債務が確定していることを求めています。債務の成立、原因となる事実の発生、金額の合理的な算定という3つの要件を示しています。
このFAQとの関係
役員個人名義の費用について、決算時点で未精算でも当期の経費として計上できるかを判断する根拠となります。請求書の発行や精算が決算後になる場合でも、決算日時点で3つの要件を満たしていたかを確認する必要があります。
国税庁 No.5202 役員等に対する経済的利益
概要
法人が役員の個人的費用を負担した場合、その負担額は役員への経済的利益に該当することを示しています。また、役員への経済的利益について、給与としての取扱いや法人税上の損金算入の考え方を説明しています。
このFAQとの関係
役員個人名義の費用を法人で負担する場合に、業務使用分と私用分を区分する必要があることの根拠となります。契約名義だけでなく、実際の使用状況や法人負担額の合理性を確認することが重要です。

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