結論
役員個人名義で契約・支払いをしている費用でも、
法人の業務に使用した部分は、法人の経費として計上できます。
役員が個人資金で立て替え、決算時点で法人から返金していない場合は、
「役員借入金」で処理して実務上差し支えありません。
その後、法人から役員へ返金したときに、役員借入金を減らします。
役員借入金は、会社が役員から借りているお金や、
役員に立て替えてもらったお金を管理する勘定科目です。
具体例で見る決算時の仕訳
例えば、役員個人名義のスマートフォンについて、次のような状況を考えてみます。
- 1か月の通信費:12,000円
- 仕事で使った割合:60%
- 通信費は役員が個人の口座から支払い済み
- 会社から役員への返金はまだ行っていない
仕事で使った分を会社が負担する取決めであれば、会社の経費にできる金額は次のとおりです。
12,000円 × 60% = 7,200円
この通信費をまだ会社の帳簿に記録していない場合は、次の仕訳を行います。
(借方)通信費 7,200円 / (貸方)役員借入金 7,200円
今回の例では、会社が役員に返すべき7,200円を役員借入金として記録します。
私用部分の4,800円は、会社の経費には含めません。
決算後に返金する場合の仕訳
翌期に会社の預金から役員へ7,200円を返金した場合は、次の仕訳を行います。
(借方)役員借入金 7,200円 / (貸方)普通預金 7,200円
これで役員借入金の残高が7,200円減少します。
通信費は前期に計上しているため、返金した際にもう一度経費を計上しないよう注意しましょう。
請求金額が決算後に分かる場合
電気代などは、決算日を過ぎてから請求金額が確定することもあります。
この場合でも、決算日時点で次の3つの条件を満たしていれば、当期の経費として計上できます。
- 会社が費用を負担する義務が成立している
- 決算日までにサービスを利用している
- 決算日時点で金額を合理的に計算できる
請求書が後から届いたという理由だけで判断せず、
会社がいつから費用を負担する取決めなのか、金額をどのように計算したのかを確認しましょう。
※役員がまだ立て替えていない場合は、支払いや精算の状況に応じて「未払費用」や「未払金」で処理する方法もあります。
法人の経費にできる範囲
役員個人名義の費用を法人で負担する場合は、
仕事で使った部分と私用部分を分けることが重要です。
先ほどの例では仕事で使った割合を60%としましたが、
実際には利用状況などをもとに、合理的な割合を決める必要があります。
私用部分まで法人が負担すると、その金額が「役員への給与」として扱われ、会社の経費として認められない場合があります。
請求書や仕事で使った割合の計算資料、会社が費用を負担する取決めなどを残しておきましょう。