結論
個人事業の売上を入金時に計上していた場合、本来とは違う年に売上を計上している可能性があります。
なぜなら、売上は、商品を引き渡した日や仕事を完了した日などに計上するのが原則だからです。
※実際にいつ売上を計上するかは、契約や業務の内容によって異なります。請求日や入金日だけで判断しないことが大切です。
その場合、年ごとの正しい売上を確認し、必要に応じて過去の確定申告を訂正します。
このとき、経理上の修正と税務申告上の訂正は、分けて考えます。
過去の売上のずれを、直近の年だけでまとめて調整することは避けましょう。
なお、一定の小規模な青色申告者には、届出によって入金時に売上を計上できる「現金主義の特例」があります。
まずは、この特例を適用しているかどうかも確認しましょう。
| 項目 | 経理上の修正 | 税務申告上の訂正 |
|---|---|---|
| 目的 | 帳簿を正しくする | 申告内容を正しくする |
| 確認事項 | 売上計上時期・売掛金残高 | 各年分の所得・税額 |
| 対応方法 | 仕訳・残高の修正 | 修正申告・更正の請求を検討 |
経理上はどのように修正するか
例えば、2024年12月に完了した仕事の報酬20万円が、2025年1月に入金されたケースを考えてみます。
現金主義の特例を適用していない場合、入金ベースの処理と本来の処理を比較すると、次のとおりです。
| 時期 | 入金ベースの処理 | 本来の処理 |
|---|---|---|
| 2024年12月 業務完了 | 仕訳なし | 借方 売掛金 200,000円 貸方 売上 200,000円 |
| 2025年1月 入金 | 借方 普通預金 200,000円 貸方 売上 200,000円 | 借方 普通預金 200,000円 貸方 売掛金 200,000円 |
入金ベースで処理していた場合、この取引については2024年の売上が20万円少なく、2025年の売上が20万円多くなっています。
もし、何年も同じ方法で処理していた場合は、年ごとに未入金の売上と、すでに計上した売上を確認する必要があります。
そして、売上の二重計上に注意しながら、仕訳や売掛金の残高を修正します。
修正前の記録や請求書などの資料も残しておきましょう。
税務申告上はどのように訂正するか
帳簿を修正しても、提出済みの確定申告書は自動的には変わりません。
過去に提出した青色申告決算書(白色申告の場合は収支内訳書)と確定申告書を見直し、年ごとの正しい所得や税額を計算します。
先ほどの20万円の例では、次のように計算し直します。
- 2024年分:売上に20万円を追加する
- 2025年分:誤って計上した売上20万円を減額する
再計算の結果に応じて、次の手続きを行います。
- 税金が不足していた場合:修正申告書を提出する
- 税金を多く申告していた場合:更正の請求書を提出する
今回の例では、2024年分は修正申告、2025年分は更正の請求となる可能性があります。
ただし、実際の手続きは各年分の所得や税額などを確認して判断します。
これらの書類は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成し、e-Taxや書面で提出できます。
修正申告で追加の税金が発生した場合は、原則として申告書の提出日に納付します。
延滞税などがかかる場合もあります。
更正の請求では、訂正する理由を記載し、その理由を証明する書類も必要に応じて提出します。税務署が内容を確認し、請求が認められれば、納めすぎた税金が還付されます。
なお、税額だけでなく、赤字(純損失)の金額や消費税の申告、
消費税の課税事業者に該当するかどうかへの影響も確認しましょう。
過去の申告を訂正できる期限
税金を多く申告していた場合などに行う更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内です。
一方、税額が不足していた場合の修正申告は、誤りに気づいたら早めに行います。
なお、税務署が申告内容を調べて税額などを変更できる期間は、原則として法定申告期限から5年です。
偽りその他不正の行為がある場合などは、7年となります。
古い年分が関係する場合は、こうした期間の制限も踏まえて対応を検討しましょう。
まずは何を確認すればよいか
まずは、請求書・契約書・入金明細・過去の帳簿・確定申告書を確認し、
「仕事を完了した年」と「売上を計上した年」を一覧に整理しましょう。
そのうえで、年ごとの売上や売掛金を確認し、過去の確定申告への影響を調べます。
複数年にわたる誤りや、古い年分の売上が関係する場合は、税務署や税理士に相談しながら対応を検討するとよいでしょう。