結論
法人がキャンセル料を受け取る場合は、
まず、そのキャンセル料が何に対して支払われるお金なのかを確認します。
キャンセル料には、得られるはずだった利益を補う「損害賠償金」や
解約手続の「事務手数料」などがあります。
その内容によって、
法人税ではいつ収入に計上するか、消費税では課税対象になるかどうかが異なります。
主な取扱いをまとめると、次のとおりです。
| キャンセル料の種類 | 具体例 | 法人税 (いつ収入にするか) | 消費税 (課税されるか) |
|---|---|---|---|
| ① 損害賠償金 (得られるはずだった利益を補うお金) | 予約が直前に取り消され、失った利益を補うために受け取るお金 | 原則、受け取ることが確定した年度。 実際に入金された年度でも可 | 不課税 |
| ② キャンセル手続の手数料 | キャンセルした時期に関係なく、一律で受け取る手数料 | キャンセル手続が完了した年度 | 課税 |
| ③ ①と②を分けずに受け取る場合 | 損害賠償金と事務手数料を分けずに、まとめてキャンセル料として受け取る場合 | 受け取るお金の内容に応じて判断 | 全額不課税とする取扱いあり |
キャンセル料はいつ収入に計上するのか
キャンセル料の種類ごとに、法人税の収入計上時期を確認します。
① 損害賠償金の場合
キャンセル料が損害賠償金に当たる場合は、
原則として「支払いを受けるべきことが確定した日」の属する事業年度に収入として計上します。
具体的にどの日を基準に考えるのか、整理してみます。
- 取引や予約がキャンセルされた日
契約でキャンセル料が決まっている場合などは、キャンセルした日に受け取る権利が確定することがあります。 - 請求書を発行した日
請求書を発行した日だけで収入計上時期は決まりません。いつ支払いを受ける権利が確定したかを確認します。 - 実際に入金された日
損害賠償金については、実際に入金された年度に収入として計上する取扱いも認められています。
つまり、損害賠償金については、
- 原則:受け取る権利が確定した年度に計上
- 例外:実際に入金された年度に計上
といった形になります。
② キャンセル手続の手数料の場合
キャンセル料が解約や取消しの事務手数料に当たる場合は、通常、キャンセル手続が完了した年度に収入として計上します。
例えば、キャンセルの時期に関係なく一定額を受け取る手数料は、解約手続というサービスの対価に当たります。
そのため、損害賠償金とは異なり、単に入金された年度に収入計上する取扱いは適用できません。
また、解約事務手数料は、原則として消費税の課税対象になります。
③ 損害賠償金と事務手数料の両方が含まれる場合
キャンセル料には、損害賠償金と事務手数料の両方が含まれる場合もあります。
この場合、キャンセル料の内訳を分けて定めているかどうかによって、消費税の取扱いが変わります。
例えば、以下のケースを考えてみます。
- 3月決算の会社
- 3月25日に予約がキャンセルされ、キャンセル手続が完了
- 同日に損害賠償金を受け取る権利も確定
- 4月10日にキャンセル料10,000円を受領
- 損害賠償金については入金時に収入計上する取扱いを採用
キャンセル料の内訳を分けて定めている場合と、分けていない場合を比較します。
| 具体例 | 法人税 | 消費税 |
|---|---|---|
| 内訳を分けて定めている 損害賠償金8,000円 +事務手数料2,000円 | 事務手数料2,000円は当期 損害賠償金8,000円は翌期(入金時) | 8,000円は不課税 2,000円は課税 |
| 内訳を分けていない キャンセル料10,000円 | お金の内容を確認し、損害賠償金と事務手数料のそれぞれについて計上時期を判断 | 10,000円全額を不課税とする取扱いあり |
法人税では、内訳を分けて定めていない場合でも、受け取るお金の実際の内容から判断します。
例えば、契約内容や計算資料から、損害賠償金8,000円と事務手数料2,000円に分けられることが確認できれば、上段と同じように処理します。内訳が確認できない場合は、契約内容やキャンセル料の決め方などを調べて判断します。
一方、消費税では、損害賠償金と事務手数料の金額を区分せず、一括して受け取ることとしている場合、全額を不課税とする取扱いが認められています。
なお、単に10,000円が1回で振り込まれたというだけで、全額を不課税にできるものではありません。
実務上の確認事項
キャンセル料を経理処理する際には、次の資料を確認しておきましょう。
- 契約書・利用規約(キャンセル料の取決め)
- キャンセルの連絡メールなど
- キャンセル料の金額や計算方法が分かる資料
- 取引先との合意内容・請求書
- 実際の入金記録
特に決算日をまたぐ場合には、「何に対するキャンセル料なのか」「いつ収入に計上するのか」の2点が重要です。
契約内容や金額が決まった経緯を確認し、法人税・消費税それぞれのルールに沿って処理しましょう。
契約書や利用規約にキャンセル料の定めがない場合、キャンセル後に取引先と話し合って、支払いの有無や金額を決めることがあります。
この場合、相手方と支払いと金額について合意した日が、収入計上時期を判断する一つの目安になります。
合意した日を確認する際は、正式な合意書だけでなく、メールなどのやり取りも確認しましょう。