FAQ No.052

法人が受け取るキャンセル料は、いつ収入に計上しますか?

ご相談内容
取引先から契約や予約のキャンセル料を受け取る場合、いつ収入に計上すればよいのでしょうか。
キャンセル料の種類による法人税・消費税の取扱いの違いや、事前に金額の取決めがなかった場合の考え方も知りたいです。
回答
Contents

結論

法人がキャンセル料を受け取る場合は、
まず、そのキャンセル料が何に対して支払われるお金なのかを確認します。

キャンセル料には、得られるはずだった利益を補う「損害賠償金」や
解約手続の「事務手数料」などがあります。

その内容によって、
法人税ではいつ収入に計上するか、消費税では課税対象になるかどうかが異なります。

主な取扱いをまとめると、次のとおりです。

キャンセル料の種類具体例法人税
(いつ収入にするか)
消費税
(課税されるか)
① 損害賠償金
(得られるはずだった利益を補うお金)
予約が直前に取り消され、失った利益を補うために受け取るお金原則、受け取ることが確定した年度。
実際に入金された年度でも可
不課税
② キャンセル手続の手数料キャンセルした時期に関係なく、一律で受け取る手数料キャンセル手続が完了した年度課税
③ ①と②を分けずに受け取る場合損害賠償金と事務手数料を分けずに、まとめてキャンセル料として受け取る場合受け取るお金の内容に応じて判断全額不課税とする取扱いあり

キャンセル料はいつ収入に計上するのか

キャンセル料の種類ごとに、法人税の収入計上時期を確認します。

① 損害賠償金の場合

キャンセル料が損害賠償金に当たる場合は、
原則として「支払いを受けるべきことが確定した日」の属する事業年度に収入として計上します。

具体的にどの日を基準に考えるのか、整理してみます。

  • 取引や予約がキャンセルされた日
    契約でキャンセル料が決まっている場合などは、キャンセルした日に受け取る権利が確定することがあります。
  • 請求書を発行した日
    請求書を発行した日だけで収入計上時期は決まりません。いつ支払いを受ける権利が確定したかを確認します。
  • 実際に入金された日
    損害賠償金については、実際に入金された年度に収入として計上する取扱いも認められています。

つまり、損害賠償金については、

  • 原則:受け取る権利が確定した年度に計上
  • 例外:実際に入金された年度に計上

といった形になります。

② キャンセル手続の手数料の場合

キャンセル料が解約や取消しの事務手数料に当たる場合は、通常、キャンセル手続が完了した年度に収入として計上します。

例えば、キャンセルの時期に関係なく一定額を受け取る手数料は、解約手続というサービスの対価に当たります。

そのため、損害賠償金とは異なり、単に入金された年度に収入計上する取扱いは適用できません。

また、解約事務手数料は、原則として消費税の課税対象になります。

③ 損害賠償金と事務手数料の両方が含まれる場合

キャンセル料には、損害賠償金と事務手数料の両方が含まれる場合もあります。

この場合、キャンセル料の内訳を分けて定めているかどうかによって、消費税の取扱いが変わります。

具体例で考えてみよう

例えば、以下のケースを考えてみます。

  • 3月決算の会社
  • 3月25日に予約がキャンセルされ、キャンセル手続が完了
  • 同日に損害賠償金を受け取る権利も確定
  • 4月10日にキャンセル料10,000円を受領
  • 損害賠償金については入金時に収入計上する取扱いを採用

キャンセル料の内訳を分けて定めている場合と、分けていない場合を比較します。

具体例法人税消費税
内訳を分けて定めている
損害賠償金8,000円
+事務手数料2,000円
事務手数料2,000円は当期
損害賠償金8,000円は翌期(入金時)
8,000円は不課税
2,000円は課税
内訳を分けていない
キャンセル料10,000円
お金の内容を確認し、損害賠償金と事務手数料のそれぞれについて計上時期を判断10,000円全額を不課税とする取扱いあり

法人税では、内訳を分けて定めていない場合でも、受け取るお金の実際の内容から判断します。

例えば、契約内容や計算資料から、損害賠償金8,000円と事務手数料2,000円に分けられることが確認できれば、上段と同じように処理します。内訳が確認できない場合は、契約内容やキャンセル料の決め方などを調べて判断します。

一方、消費税では、損害賠償金と事務手数料の金額を区分せず、一括して受け取ることとしている場合、全額を不課税とする取扱いが認められています。

なお、単に10,000円が1回で振り込まれたというだけで、全額を不課税にできるものではありません。

実務上の確認事項

キャンセル料を経理処理する際には、次の資料を確認しておきましょう。

  • 契約書・利用規約(キャンセル料の取決め)
  • キャンセルの連絡メールなど
  • キャンセル料の金額や計算方法が分かる資料
  • 取引先との合意内容・請求書
  • 実際の入金記録

特に決算日をまたぐ場合には、「何に対するキャンセル料なのか」「いつ収入に計上するのか」の2点が重要です。

契約内容や金額が決まった経緯を確認し、法人税・消費税それぞれのルールに沿って処理しましょう。

事前にキャンセル料の取決めがない場合はどうするの?

契約書や利用規約にキャンセル料の定めがない場合、キャンセル後に取引先と話し合って、支払いの有無や金額を決めることがあります。

この場合、相手方と支払いと金額について合意した日が、収入計上時期を判断する一つの目安になります。

合意した日を確認する際は、正式な合意書だけでなく、メールなどのやり取りも確認しましょう。

参考情報・根拠 4件
通達・告示 法人税基本通達2-1-43「損害賠償金等の帰属の時期」
概要
法人が他の者から受け取る損害賠償金について、原則として支払いを受けるべきことが確定した日の属する事業年度に益金算入することを定めています。また、実際に支払いを受けた日の属する事業年度に益金算入している場合も、その処理を認めています。
このFAQとの関係
キャンセル料が損害賠償金に該当する場合の益金算入時期を判断する直接的な根拠となります。権利確定時の計上と入金時の計上の取扱いを確認できます。通常の役務提供の対価について、同じ取扱いを認める通達ではありません。
通達・告示 法人税基本通達 第2章第2節第3款「役務の提供に係る収益」
概要
役務の提供による収益の帰属時期について、履行義務が一定期間にわたり充足される場合と、一時点で充足される場合の取扱いを定めています。また、請負に係る収益については、原則として引渡し等の日の属する事業年度に益金算入する取扱いを示しています。
このFAQとの関係
キャンセルに伴って受け取る金銭が、解約事務やすでに提供したサービスの対価に該当する場合の収益計上時期を判断する参考となります。役務提供の内容や契約条件によって計上時期が異なることを確認できます。
国税庁 No.6253「キャンセル料」
概要
キャンセル料について、解約手続などの事務手数料としての性格を持つものと、逸失利益を補填する損害賠償金としての性格を持つものを区分しています。前者は消費税の課税対象となり、後者は課税対象となりません。また、両者を区分せず一括して受領する場合には、全額を不課税として取り扱うことが示されています。
このFAQとの関係
キャンセル料の消費税の課税区分を判断する根拠となります。航空運賃のキャンセル料やゴルフ場の予約取消しを例として、受け取る金銭の性質による違いを確認できます。なお、この資料は消費税に関するものであり、法人税の益金算入時期を直接定めるものではありません。
通達・告示 消費税法基本通達5-5-2「解約手数料、払戻手数料等」
概要
予約の取消しや変更に伴って受け取るキャンセル料のうち、逸失利益等に対する損害賠償金は資産の譲渡等の対価に該当しないことを示しています。一方、解約や取消しの手続を行う役務の提供の対価は、消費税の課税対象となります。また、両者を区分せず一括して授受する場合には、全体を資産の譲渡等の対価に該当しないものとして取り扱うことを定めています。
このFAQとの関係
キャンセル料の消費税の課税区分を判断する基本通達です。損害賠償金と解約事務手数料の違いに加え、両者が混在している場合の取扱いを確認できます。

ご自身の状況に当てはめて確認したい方へ

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