利益が増えてきた中小企業の経営者にとって、役員報酬の見直しは重要な節税策です。
利益水準と比較して、決定しましょう。

役員報酬を経費にするにはルールがある
役員報酬を損金算入するには、以下のいずれかの形態で支給する必要があります。
役員報酬をいつでも変更できると、利益操作が可能となってしまうため、
一定のルールが設けられています。
1. 定期同額給与
- 毎月同額を支給する役員報酬
- 税務署への事前届出は不要
- 改定できるのは年1回、事業年度開始から3ヶ月以内のみ
- 最も一般的で活用しやすい方法
このように1年間が同じ金額であれば、すべて経費として計上できます。
(青色部分)

一方で、上記のルール外で変更した場合、経費に計上することはできません。
例えば、6月から+20万円とした場合、以下の通りです。

2. 事前確定届出給与
- 賞与として支給する役員報酬
- 株主総会決議日から1ヶ月以内に税務署へ届出が必要
- 届出通りの金額・時期に支給しなければ損金不算入
- 計画的な資金繰りが可能
役員賞与を経費として計上できる制度ではありますが、
非常に厳格な要件
があるため、リスクも高いです。
- 届出期限を厳守する必要あり(1日の遅れも許されない)
- 届出内容と完全一致の支給が必要(支給日、支給額、支給対象者)
⇒1円、1日、一部相違があると、経費として認められない - 業績悪化時も、原則的に変更できない
などが挙げられます。
よほどの理由がない限り、『定期同額給与』での支給が安全かなと思います。
そのため、節税策としては、
『最も有効な役員報酬の金額を見極める』
という点が、肝要です。
3. 業績連動給与(参考)
- 利益に連動して支給する報酬
- 大企業向けで、中小企業では実務上難しい
(有価証券報告書の開示等が条件としてある)
節税になる理由
役員報酬を増額することで、節税になる理由は、
- 法人で『役員報酬を経費』にできる
- 個人で『給与所得控除』ができる
といった点が挙げられます。
要するに、『経費の二重取りが可能』ということです。
それぞれの概要を以下で記載します。
🏢 法人側のメリット
- 役員報酬は損金算入でき、法人税の課税所得が減少
- 報酬増額分がそのまま経費となり、法人税負担が軽減
- 特に課税所得800万円を超える場合、税負担が重くなるため、有効(800万円超:23%、800万円以下:15%)
🤵 個人側の影響
- 役員個人の所得税・住民税・社会保険料の負担UP
- ただし、給与所得控除が適用されるため、実際の課税所得は額面より低い
- 年収900万円以下:所得税率が23%までで、社会保険料の負担も比較的抑えられる水準
シミュレーションをしてみよう
ご自身の状況に合わせてシミュレーションをしてみましょう。
例えば、会社利益が1,200万円の会社であれば、役員報酬をいくらとすることが最適になるでしょうか?
シミュレーションをすると、このような形で240,000円/月での設定が最適となります。

ぜひ、さまざまなケースで算定をしてみましょう。
シミュレーションツールの提供
シミュレーション用のExcelです。
下記から無料でダウンロードいただけますので、ご自身の数値を入力して試算頂ければ。
1. 現在の役員報酬(月額)を入力
2. 検討している増加額を入力
3. 法人の課税所得を入力
4. 自動で節税効果が計算されます。
あなたの状況に合わせた詳細シミュレーションは、個別コンサルティングなどで承ることも可能です。
(もちろん顧問契約でも)
では、また次回。