FAQ No.007

役員報酬を支払えない場合、未払計上が必要ですか?

ご相談内容
資金繰りの都合で、決めていた役員報酬を支払えない月が生じた場合、決算で役員報酬を計上しなくてもよいのでしょうか。
将来の役員報酬を減額・停止した場合との違いも知りたいです。
回答
Contents

結論

①役員報酬の金額を変更しておらず、支払いだけが遅れている場合

この場合、会社に支払義務が残っているのであれば、役員報酬の計上が必要です。

支給時期が到来し、役員報酬としての債務が確定している分は、「役員報酬/未払金等」として計上します。


②株主総会等の必要な手続により、将来の役員報酬を変更している場合

一方で、株主総会等の必要な手続により、将来の役員報酬を減額している場合は、減額後の金額に基づいて処理します。
減額によって支払義務がなくなった部分については、未払計上しません。

ただし、その減額が法人税上も損金として認められるかは別途確認が必要です。


③結論のまとめ

ケース 会計処理 ポイント
金額はそのまま
支払いだけ遅れている
未払計上する
役員報酬 / 未払金等
未払いでも、支払義務が残っていれば計上
将来の役員報酬を減額 減額後の金額で処理 定期同額給与の要件を別途確認

未払計上する場合の考え方

役員報酬の金額を変更していない場合は、会社に支払義務が残っているかを確認します。
※債権放棄等により、支払義務が消滅していないかも確認します。

支給時期が到来し、役員報酬としての債務が確定しているのであれば、実際に支払っていなくても未払計上します。

また、役員報酬については、会計上の未払計上だけでなく、「定期同額給与」など法人税上の損金算入要件もあわせて確認します。

期中で役員報酬を減額した場合の考え方

通常の改定時期を過ぎて役員報酬を減額する場合には、「業績悪化改定事由」など、法人税上認められる改定に該当するかを確認します。
※定期同額給与については、こちらのFAQもご参照ください。
役員報酬を期中で減額できますか?

国税庁は、一時的な資金繰りの都合や、単に業績目標を達成できなかったことだけでは、業績悪化改定事由には該当しないとしています。

そのため、「資金不足で支払えず、未払いになっている」ことと、「今後の役員報酬そのものを減額・停止する」ことは分けて考える必要があります。

後者の場合は、

  • 変更日
  • 変更前後の金額
  • 変更理由
  • 株主総会等の決議内容

といったことを株主総会等の議事録などに残し、後からでも客観的に説明できるようにしておくことが大切です。

未払の役員報酬は源泉所得税にも注意

毎月の役員給与が未払となった場合、源泉所得税は原則として実際に給与を支払う際に徴収します。

一方、年末調整を行う場合は、その年中に支給日が到来して支払が確定した給与であれば、年末時点で未払となっているものも年間の給与等に含めて計算します。

決算で未払計上した後も、実際の支払時期と源泉所得税の処理まで確認しておきましょう。

参考情報・根拠 5件
法令 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)
概要
法人の所得計算における損金の基本的な取扱いと、役員給与の損金算入について定める法令です。
このFAQとの関係
未払となった費用の損金算入には債務確定の考え方があり、役員報酬についてはさらに法人税法第34条の役員給与に関する要件を確認する必要があります。
法令 法人税法施行令(昭和四十年政令第九十七号)
概要
法人税法第34条に基づき、定期同額給与の範囲や、役員給与を改定した場合の取扱いを定める政令です。
このFAQとの関係
将来の役員報酬を期中で減額・停止した場合には、通常改定、臨時改定事由、業績悪化改定事由など、施行令第69条に定める改定に該当するかを確認する必要があります。
国税庁 No.5387 販売費、一般管理費その他の費用における債務確定の判定
概要
事業年度末までに費用に係る債務が成立していること、具体的な給付原因となる事実が発生していること、金額を合理的に算定できることという、債務確定の要件を示しています。
このFAQとの関係
決められた役員報酬について支払義務が残っている場合に、「現金を支払っていない」という理由だけで費用自体をなかったことにできるわけではない、という会計・法人税上の整理の基礎になります。役員給与については、この債務確定に加えて法人税法第34条の要件を確認します。
国税庁 No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)
概要
定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与の基本的な取扱いと、定期給与を期中で改定した場合の要件を整理しています。業績悪化改定事由について、一時的な資金繰りの都合や単なる業績目標の未達成は含まれないことも明示されています。
このFAQとの関係
単に役員報酬が未払いになったケースと、将来の役員報酬そのものを減額・停止するケースを区別する根拠になります。資金不足を理由に報酬額を変更する場合、その変更が法人税上認められる改定に該当するかは別途判定が必要です。
国税庁 No.2526 給与が一部未払の場合の源泉徴収
概要
役員や使用人の毎月の給与が支給日に支払われず未払となった場合、源泉徴収は原則として実際に支払う際に行うことを示しています。また、年末調整では未払給与も年間の給与等の支払金額に含める取扱いが示されています。
このFAQとの関係
役員報酬が未払いになっても、その給与債務自体が消えるわけではないことを源泉所得税の取扱いからも確認できます。未払役員報酬を実際に支払う際の源泉徴収についても実務上の注意点となります。

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