FAQ No.014

自宅を法人の事務所として使う場合、家賃や光熱費はどう処理しますか?

ご相談内容
代表者個人が所有する自宅の一部を会社の仕事場として使う場合、賃料を支払わずに使用してもよいのでしょうか。電気代やインターネット代を会社で負担する場合の考え方も知りたいです。
回答
Contents

結論

代表者個人が所有する自宅の一部を法人の事務所として使う場合、法人から賃料を支払わないのであれば、賃貸借ではなく「使用貸借」として整理できます。

使用貸借とは、簡単にいえば、賃料を取らずに物を使用させる契約です。
自宅を法人に使用させるからといって、必ず賃料を設定しなければならないわけではありません。

一方で、電気代や通信費は、自宅全体の費用をそのまま法人負担とするのではなく、法人の業務に使用した部分を合理的に区分して実費精算します。

賃料を支払わない場合・支払う場合の違い

項目 無償で使う場合 賃料を払う場合
契約関係 使用貸借として整理 賃貸借として整理
個人への賃料 なし あり
電気代・通信費 業務使用分を合理的に区分して実費精算 契約上の負担区分や実際の使用状況に応じて法人負担分を処理
個人側の賃料収入 なし 原則として不動産所得
書面 使用範囲・目的・費用負担を覚書等で残す 使用範囲・賃料・費用負担を契約書で明確にする

電気代・通信費は業務使用分を精算する

国税庁の在宅勤務に関するFAQでは、通信費や電気料金について、業務に使用した部分を合理的に計算して精算する方法が示されています。

電気料金であれば、使用する部屋の床面積や使用日数・時間など、
通信費であれば実際の利用状況など、その費用の性質に合った基準で区分します。

そのため、次のような資料を残しておくとよいでしょう。

  • 電気代・通信費の請求書
  • 業務使用割合の計算方法と根拠
  • 毎月の精算内容

ひとり会社では、代表者個人の支出と法人の支出が混ざりやすいため、毎月一定額を根拠なく支給するのではなく、実際の請求額から業務使用分を計算して精算することが重要です。

私用部分まで法人が負担した場合や、
法人業務のために使用したことが明らかでない支払いについては、
役員への経済的利益として給与に該当する可能性があります。

無償使用でも内容を残しておく

使用貸借の場合、法人から代表者個人へ賃料は支払いません。
ただし、代表者個人と法人は別の主体です。

使用する場所、使用目的、無償で使用すること、電気代・通信費などの負担方法を、使用貸借契約書や覚書として残しておくと、法人が自宅をどのような条件で使用しているのか説明しやすくなります。

法人から賃料を支払う場合は別に考える

法人から代表者個人へ自宅の事務所使用分について賃料を支払う場合は、使用貸借ではなく賃貸借として、使用する範囲や賃料などを契約で明確にします

個人が受け取る賃料は、原則として不動産所得となります。

自宅にかかる費用については、不動産収入を得るために直接必要なもののうち、家事上の費用と明確に区分できる部分を必要経費として検討します。

また、ひとり会社などの同族会社の役員が、その会社から給与のほかに不動産の賃貸料を受け取っている場合には、その所得金額が20万円以下であっても、確定申告をすれば税金が還付される人を除き、確定申告が必要です。

賃料を設定する場合は、法人側の経費処理だけでなく、個人側の申告まで含めて確認しましょう。

参考情報・根拠 5件
法令 民法(明治二十九年法律第八十九号)第593条(使用貸借)
概要
民法第593条では、使用貸借を、相手方が物を無償で使用・収益し、契約が終了したときに返還することを約する契約と定めています。
このFAQとの関係
代表者個人が所有する自宅を法人が賃料なしで使用する場合に、賃貸借ではなく使用貸借として整理できることの根拠になります。
国税庁 在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)
概要
従業員が家事部分を含めて負担した通信費や電気料金について、業務に使用した部分を合理的に計算して実費精算する場合には、給与として課税する必要がないことを示しています。通信費や電気料金の業務使用部分について、在宅勤務日数や使用する部屋の床面積などを用いた計算例も示されています。一方、業務に使用しなかった場合でも返還する必要のない定額の在宅勤務手当は、給与として課税する取扱いです。
このFAQとの関係
自宅の電気代や通信費を会社が負担する場合に、自宅全体の費用をそのまま会社負担とするのではなく、業務使用部分を合理的に計算して実費精算する考え方の参考になります。なお、このFAQは従業員を対象とした資料であるため、代表者個人への支払いについては、役員への経済的利益に関する取扱いも併せて確認しています。
国税庁 No.5202 役員等に対する経済的利益
概要
法人が役員の個人的費用を負担した場合や、法人業務のために使用したことが明らかでない金銭を支給した場合などは、役員に対する経済的利益として給与に含まれることを示しています。
このFAQとの関係
自宅の電気代や通信費について、法人が代表者の私用部分まで負担したり、業務使用の根拠がないまま支給したりすると、単なる会社経費ではなく役員への経済的利益として扱われる可能性があることの根拠になります。
国税庁 No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)
概要
土地や建物などの不動産を貸し付けて得る賃貸料は、原則として不動産所得となることを示しています。不動産所得は、賃貸料などの総収入金額から、不動産収入を得るために直接必要で家事上の経費と明確に区分できる必要経費を差し引いて計算します。
このFAQとの関係
代表者個人が所有する自宅の一部を法人へ有償で貸し、法人から賃料を受け取る場合には、個人側で不動産所得としての申告関係と必要経費を検討する必要があることの根拠になります。
国税庁 No.1901 同族会社の役員で確定申告の必要な人
概要
同族会社の役員が、その同族会社から給与のほかに不動産の賃貸料などを受け取っている場合には、その所得金額が20万円以下であっても、確定申告をすれば税金が還付される人を除き、確定申告が必要であることを示しています。
このFAQとの関係
ひとり会社などの同族会社で、代表者個人が自宅の一部を自社へ貸して賃料を受け取る場合には、一般的な給与所得者の「20万円以下」の考え方だけで申告不要と判断できないことを具体化する資料です。

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