結論
源泉徴収を忘れた場合でも、支払者には源泉所得税の納付義務があります。
受取人から税額を回収することもできますが、会社が負担する場合は、追加の源泉所得税が発生することがあります。
支払った金額を手取り額として、源泉所得税を再計算・納付します。
当初の報酬に対する源泉所得税を計算・納付します。
受取人に請求・精算します。
会社負担分を追加報酬として、源泉所得税を再計算・納付します。
源泉徴収漏れに気づいたら
まず、支払った報酬が源泉徴収の対象となるかを確認します。
個人への報酬であっても、すべてが対象となるわけではありません。
源泉徴収の対象額は原則として税込金額ですが、請求書などで消費税が明確に区分されていれば、税抜金額を対象として計算することもできます。
- 消費税の区分あり:報酬80,000円+消費税8,000円 → 源泉所得税8,168円
- 消費税の区分なし:報酬88,000円(税込) → 源泉所得税8,984円
※いずれも源泉徴収税率10.21%が適用される報酬の例です。
源泉所得税の納期限は原則として支払月の翌月10日です。
期限を過ぎている場合は早めに納付しましょう。
不納付加算税や延滞税が生じることもあるからです。
具体例|徴収し忘れた税額を会社が負担する場合
報酬80,000円+消費税8,000円の請求に対し、源泉所得税を差し引かず88,000円全額を支払ったとします。
当初は会社負担の約束がなく、その後、会社が源泉所得税を納付して受取人から回収しないことを決めたケースです。
80,000円 × 10.21% 8,168円
8,168円 ÷(1-10.21%)を円単位で調整 9,096円
9,096円 × 10.21%(1円未満切捨て) 928円
当初分8,168円+追加分928円
追加報酬9,096円から源泉所得税928円を差し引くと、会社が回収しない8,168円と一致します。
納付時期と仕訳例
当初分8,168円は当初の報酬支払月に対応します。
追加分928円は、当初分を納付した後、受取人から回収しないことを決めた時点の追加報酬に係る税額です。
支払月が異なる場合は、所得税徴収高計算書も月ごとに作成します。
会計上は、当初分をいったん立替金として処理した場合、次のような仕訳になります。
※当初の報酬の仕訳は省略しています。追加報酬の消費税区分や費用の計上年度は、個別の事情に応じて確認が必要です。