A回答
Contents
結論
従業員の残業手当は、原則として残業した月の費用に計上します。
支払いが翌月でも、残業が行われ、会社に支払義務が生じ、金額を計算できる場合は、
当月の「未払費用」として計上します。
給与と残業手当の費用計上・支払いのタイミング
例:3月分の給与は3月払い、残業手当は4月払い
3月(当月)
4月(翌月)
会計の
流れ
費用計上
費用計上あり
3月分の給与を費用に計上
費用計上あり
3月分の残業手当を未払計上
お金の
流れ
実際の支払い
支払いあり
3月分の給与を支払う
未払い
3月分の残業手当は4月払い
※3月分の残業手当は、要件を満たせば3月の「未払費用」として計上し、4月の支払い時に精算します。
残業手当を未払計上するための条件
法人税では、まだ支払っていない費用をその期の損金(税金計算上の経費)にするには、
原則として決算日までに「債務が確定していること」が必要です。
具体的には、次の3つの条件を満たす必要があります(法人税基本通達2-2-12)。
- 残業手当を支払う義務があること
- 支払義務の原因となる残業が実際に行われていること
- 残業手当の金額を合理的に計算できること
つまり、実際に残業が行われ、会社に支払義務が生じ、
給与規程や勤怠記録などから金額を計算できるかがポイントです。
支払いが翌月でも、翌月の費用にするわけではありません。
残業手当の仕訳例
例えば、3月分の残業手当が50,000円で、4月に支払う場合を考えてみましょう。
この場合、3月末に残業手当を未払計上し、4月の支払い時に未払費用を取り崩します。
① 3月末:残業手当を未払計上するとき
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 給料手当 | 50,000円 | 未払費用 | 50,000円 |
3月分の残業手当50,000円を、3月の費用として計上します。
② 4月:残業手当を支払うとき
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 未払費用 | 50,000円 | 普通預金 | 50,000円 |
4月は新たな費用を計上せず、3月末に計上した未払費用を取り崩します。
※源泉所得税や社会保険料などの控除は省略しています。
給与の源泉所得税は、原則として実際に支払うときに徴収します。
毎月の経理と年度決算での取扱い
毎月の経理では、金額や重要性に応じて、簡便な処理をすることもあります。
ただし、年度決算では、決算日までに発生し、債務が確定している残業手当を未払費用として計上することが重要です。
決算時には、勤怠記録や残業代の計算資料を確認し、決算日までの残業分を集計しておきましょう。
参考情報・根拠
5件
法令
法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第22条
概要
法人税法第22条第3項では、法人の各事業年度の損金となる費用の範囲を定めています。販売費、一般管理費その他の費用については、別段の定めがあるものを除き、償却費以外の費用で事業年度終了の日までに債務が確定していないものを損金から除いています。
このFAQとの関係
残業手当の損金算入時期について、実際の支払日だけで判断するのではなく、事業年度終了の日までに債務が確定しているかを確認する基本的な法令根拠となります。
原文を見る ↗
通達・告示
法人税基本通達 第2章第2節第2款 販売費及び一般管理費等(2-2-12 債務の確定の判定)
概要
費用に係る債務の確定について、事業年度終了の日までに、債務が成立していること、具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること、金額を合理的に算定できることの3要件を定めています。
このFAQとの関係
残業手当について、労働の提供が完了していること、支払義務が生じていること、勤怠記録や給与規程などに基づき金額を算定できることを確認する際の根拠となります。
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国税庁
No.5387 販売費、一般管理費その他の費用における債務確定の判定
概要
法人税上の債務確定の3要件を説明しています。また、修繕費を例として、作業が完了し、金額を客観的に見積もることができる場合には、未払金等として計上できることを示しています。
このFAQとの関係
費用の損金算入時期を判断する際には、支払日よりも債務の成立、役務の提供状況、金額の合理的な算定可能性が重要であることを確認できます。残業手当についても、これらの要件に基づいて判断します。
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国税庁
No.2526 給与が一部未払の場合の源泉徴収
概要
給与が所定の支給日に支払われず未払となっている場合、源泉徴収は原則として実際に給与を支払う際に行うことを説明しています。また、給与の一部のみを支払った場合の源泉徴収方法も示しています。
このFAQとの関係
残業手当を発生月に未払計上する処理と、給与支払時の源泉徴収を区別する根拠となります。給与費用の計上時期と源泉所得税の徴収時期は、分けて考える必要があります。
原文を見る ↗
その他
労働条件・職場環境に関するルール
概要
労働基準法に基づく賃金の支払方法、労働時間、時間外労働や休日労働等に対する割増賃金について説明しています。使用者が時間外労働等に対して割増賃金を支払う義務があることを示しています。
このFAQとの関係
残業手当が労働の対価として発生する賃金であることを確認できます。未払計上する金額については、実際の労働時間や適用される割増賃金の計算条件を確認することが重要です。
原文を見る ↗
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