FAQ No.002

婚約者に仕事を外注した場合、経費にできますか?

ご相談内容
個人事業主が婚姻前のパートナーに仕事を依頼し、業務委託として報酬を支払う場合、その支払いは必要経費にできるのでしょうか。結婚後も同じ処理を続けられるのかを知りたいです。
回答
Contents

結論

婚姻前のパートナーで、所得税法上の「生計を一にする配偶者その他の親族」に該当しないのであれば、婚約しているという理由だけで外注費を必要経費にできなくなるわけではありません。

実際に事業に必要な仕事を依頼し、仕事の対価として適正な報酬を支払い、契約や働き方の実態も外注と認められるのであれば、必要経費として処理できます。


一方、結婚後に生計を一にする配偶者となった場合は取扱いが変わります。
配偶者へ支払った対価は、原則として第三者への外注費と同じようには必要経費にできません。
青色申告の場合は、一定の要件を満たせば青色事業専従者給与として必要経費にできる制度があります。

「業務委託」と書けば外注になるわけではありません

外注か給与かは、契約書の名称だけではなく実際の働き方を見て判断します。

国税庁の通達では、区分が明らかでない場合の判断要素として、

  • 他の人が代わりに仕事をできるか
  • 発注者から具体的な指揮監督を受けるか
  • 仕事が完成しなかった場合の報酬の扱い、材料や用具を誰が負担するか

などを挙げています。

そのため、仕事の進め方を受注者自身が決め、発注者から細かな指揮監督を受けずに仕事を完成させる形は、外注と判断する方向の材料になります。

ただし、一つの条件だけで決まるものではなく、契約と実態を総合して確認します。

まとめて支払っても、支払日だけで経費の時期は決まりません

過去に行ってもらった複数の仕事について報酬をまとめて支払うこと自体が、直ちに問題になるわけではありません。

ただし、必要経費は原則として、その年に債務が確定した金額を計上します。

実際に仕事が行われ、支払う義務が生じ、金額を合理的に算定できる状態になった時期が重要です。

業務内容、依頼日や納品日、報酬の計算方法、請求書・精算書、振込記録など、実際の取引を後から説明できる資料を残しておくとよいでしょう。

仕事内容によっては源泉徴収も確認します

外注報酬のうち、原稿料やデザインの報酬など一定のものは源泉徴収の対象になります。
名称ではなく、実際にどのような仕事の対価なのかを確認する必要があります。


ただし、支払者が個人事業主で給与等を支払っていない場合は、一定の例外を除き、源泉徴収対象の報酬を支払っても原則として源泉徴収する必要はありません。

従業員や青色事業専従者などに給与を支払っている場合には、源泉徴収義務の有無を改めて確認します。

結婚後は「生計を一にするか」が重要です

所得税法では、生計を一にする配偶者その他の親族が事業から対価を受ける場合、その支払額は原則として事業主の必要経費に算入しない取扱いとなっています。

「生計を一にする」とは、単に同居しているかどうかだけで決まるものではありません。
生活費など日常生活の資を共通にしているかを見て判断します。

青色事業専従者給与を利用する場合は、配偶者が専らその事業に従事していること、所定の期限までに届出をしていること、給与額が仕事内容などからみて相当であることなどの要件があります。

配偶者自身が別の事業を相当程度続けているなど、専ら従事しているといえない場合には、要件を満たさないことがあります。

婚姻前から同じ仕事を依頼していたとしても、結婚後は従来の外注処理をそのまま続けず、婚姻後の関係や働き方に応じて処理方法を確認することが大切です。

参考情報・根拠 6件
法令 所得税法
概要
所得税法第56条は、事業を営む者と生計を一にする配偶者その他の親族がその事業から対価を受ける場合、その対価を原則として事業主の必要経費に算入しない取扱いを定めています。第57条では、一定の要件を満たす青色事業専従者給与等について特例を定めています。
このFAQとの関係
婚姻後に生計を一にする配偶者へ支払う対価について、第三者への通常の外注費とは異なる取扱いとなる基本的な法的根拠です。
国税庁 No.2210 必要経費の知識
概要
必要経費は原則として、その年に債務が確定した金額を算入することを示しています。また、生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金等は、青色事業専従者給与などの例外を除き必要経費にならないことを説明しています。
このFAQとの関係
報酬をまとめて支払った場合でも、単純に支払日だけで経費計上時期を決めるわけではないことと、婚姻後の配偶者への支払いに所得税法上の特例があることの根拠になります。
通達・告示 消費税法基本通達 第1章第1節(個人事業者と給与所得者の区分)
概要
雇用契約等による給与か、請負による報酬かが明らかでない場合について、他人による代替が可能か、発注者の指揮監督を受けるか、仕事が完成しない場合にも報酬を請求できるか、材料・用具を誰が負担するかなどを総合して判定することを示しています。
このFAQとの関係
契約書に「業務委託」と記載しただけでは外注になるとは限らず、実際の働き方や契約関係から給与か外注かを判断する必要があることを具体化する資料です。
国税庁 No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除
概要
生計を一にする配偶者その他の親族への給与は原則として必要経費にならない一方、青色申告者については、年齢、専従期間、届出、支給方法、給与額の相当性などの要件を満たす青色事業専従者給与を必要経費にできることを示しています。
このFAQとの関係
結婚後も仕事を依頼する場合に、単純に外注費として処理するのではなく、青色事業専従者給与の適用を検討する場合の具体的な要件を示す資料です。特に、本人が別の事業を継続している場合には「専らその事業に従事しているか」の確認が重要になります。
通達・告示 〔原稿等の報酬又は料金(第1号関係)〕
概要
所得税法第204条第1項第1号の源泉徴収対象となる報酬・料金について、原稿料やデザインの報酬などの具体的な範囲を示しています。デザインの報酬には一定の原画料や線画料なども含まれることが示されています。
このFAQとの関係
外注する仕事の内容によっては、支払う報酬が源泉徴収の対象となる可能性があるため、業務内容を確認する必要があることの根拠になります。
国税庁 No.2793 報酬・料金等の源泉徴収義務者
概要
源泉徴収対象となる報酬を支払う場合でも、支払者が個人で給与等の支払者でないときは、一定の例外を除き源泉徴収をする必要がないことを示しています。一方、給与等の支払いがある個人は、対象となる報酬について源泉徴収義務が生じます。
このFAQとの関係
個人事業主が外注報酬を支払う場合の源泉徴収について、仕事内容だけでなく、支払者自身が給与等の支払者に該当するかも確認する必要があることの根拠になります。

ご自身の状況に当てはめて確認したい方へ

個別の事情を確認しながら判断したい場合は、以下のサービスをご利用いただけます。

Contents