A回答
Contents
結論
別表六(一)で銘柄別簡便法を選択する場合、配当等の計算期間中に株式分割があったときは、分割前から保有していた株式の期首所有元本数を、分割後の株数に換算して計算するのが合理的と考えます。
株式分割は、既に保有している株式を細分化するものであり、新たに元本を取得する取引ではありません。
そのため、分割前の期首株数と分割後の期末株数をそのまま比較すると、株式分割による増加分まで期中の元本増加として計算され、所得税額控除の割合が本来より低く算定される方向に働きます。
銘柄別簡便法では何を比較するか
銘柄別簡便法は、配当等の計算期間の開始時と終了時に所有していた元本数を使って、所有期間に対応する所得税額控除を簡便的に計算する方法です。
したがって、計算期間中に株式分割があった場合は、分割前から保有していた株式について分割比率を反映し、期首と期末の株数を同じ分割後ベースで比較するのが整合的です。
たとえば、期首に80株を保有し、期中に1株を2株とする株式分割があり、そのほかに売買がなかった場合を考えます。
|
期首株数 |
期末株数 |
| 分割前 |
80株 |
― |
| 換算 |
× 2 |
― |
| 分割後ベース |
160株 |
160株 |
銘柄別簡便法では、期首160株・期末160株として比較します。
期中に売買もある場合
計算期間中に株式の取得や売却もある場合は、株式分割の前後で株数の基準をそろえて整理します。
分割前の保有株数や期中取得株数は分割後ベースに換算し、その後の売買も反映したうえで、期首・期末の所有元本数を確認します。
一方、株式分割が配当等の計算期間の開始前にすでに効力を生じている場合は、期首株数自体が通常は分割後の実数となっているため、さらに重ねて換算する必要はありません。
たとえば、期首に80株を保有し、分割前に20株を追加取得した後、1株を2株とする株式分割が行われ、さらに分割後に30株を追加取得した場合を考えます。
|
期首から保有 |
分割前に取得 |
分割後に取得 |
合計 |
| 分割前ベース |
80株 |
20株 |
― |
100株 |
| 換算 |
× 2 |
× 2 |
換算なし |
― |
| 分割後ベース |
160株 |
40株 |
30株 |
230株 |
この場合、銘柄別簡便法では期首160株・期末230株として計算します。
株式分割時の取扱いは明文化されていない
今回確認した国税庁の別表六(一)の記載要領や法人税基本通達には、株式分割があった場合の期首所有元本数の補正方法を直接示した記載は確認できませんでした。
そのため、この取扱いは、法人税法施行令第140条の2の簡便計算の仕組みと、国税庁が株式分割による株式について分割前の株式との同一性を認めている考え方を踏まえた実務上の整理です。
金額的重要性が高い場合や、株式分割以外の資本取引も重なっている場合には、個別に確認した方がよいでしょう。
参考情報・根拠
4件
国税庁
別表六(一)の記載の仕方
概要
法人税法第68条の所得税額控除を受ける場合に使用する別表六(一)の記載要領です。令和8年4月1日以後終了事業年度分の様式・記載方法を確認できます。
このFAQとの関係
今回のFAQが対象とする別表六(一)の現行様式を確認するための一次資料です。株式分割時の期首所有元本数の補正方法そのものについては直接の記載を確認できないため、この資料だけを根拠に取扱いを断定していません。
原文を見る ↗
国税庁
No.5760 所得税額控除
概要
配当等に係る所得税額控除について、原則的な方法と簡便法を説明している資料です。簡便法では、配当等の計算期間の開始時に所有していた元本の数と、終了時に所有していた元本の数を使って計算することが示されています。
このFAQとの関係
銘柄別簡便法が、計算期間の開始時と終了時の元本数を基礎としていることを確認するための資料です。株式分割による名目的な株数増加をそのまま期中の元本増加として扱うと計算結果に影響するため、分割前後の株数を同じ基準にそろえる必要性を検討する基礎としています。
原文を見る ↗
法令
法人税法施行令 第140条の2(法人税額から控除する所得税額の計算)
概要
法人税額から控除する所得税額の計算方法を定める政令です。第3項では、元本の増加がある場合について、一定の簡便計算を行う方法が定められています。
このFAQとの関係
株式分割によって株数だけが増加した場合に、これを新たな元本の取得による増加と同じように扱うことが簡便法の仕組みと整合するかを検討するうえで、中心となる法令上の根拠です。
原文を見る ↗
国税庁
「取得をした日」の判定
概要
株式分割または併合によって取得した株式について、その株式は取得の基因となった株式と同一性を有することから、取得日は基因となった株式の取得日によると説明している資料です。
このFAQとの関係
所得税に関する資料であり、別表六(一)の補正方法を直接定めるものではありません。ただし、株式分割による株数増加を新たな投資・新規取得と同視せず、分割前の株式との同一性を認める国税庁の考え方を確認するための参考資料として採用しています。
原文を見る ↗
ご自身の状況に当てはめて確認したい方へ
個別の事情を確認しながら判断したい場合は、以下のサービスをご利用いただけます。
← 税務・経理のよくあるご相談一覧へ