電子帳簿保存法の対応、何をすればいい?|全体像と実務の進め方

「電子帳簿保存法」という言葉、聞いたことはあるけど…

正直、何をすればいいのかよく分からない。
対応しないといけないのは分かるけど、どこから手をつけるべきか迷う。

そんな方も多いのではないでしょうか?

この制度、ややこしく見えますが、
結論としては、「3つに分けて考える」とシンプルに整理できます。

電子帳簿保存法の対応について、
「何から手をつければいいか分からない」という方向けの記事です。

Contents

なぜ、このような法律ができたのか?

電子帳簿保存法は、単に「紙をなくしたいからできた法律」ではなく、
次の2つを両立させるための法律です。

  • 納税者側の保存負担を軽くすること
  • 税務上、証拠として信頼できる状態を守ること

この2つの綱引きの中で制度が作られ、
電子取引の広がりに合わせて、徐々にルールが強化されてきました。

①成立は、実は1998年(平成10年)

ご存じない方も多いと思いますが、
電子帳簿保存法自体は、1998年(平成10年度)に制度ができました。

もともとは紙面前提の税法であったところ、
PCの普及により「紙➡電子」の流れができました。

この流れに沿うように法律が成立し、
必要に応じて改正が重ねられてきました。

これが、ざっくりとした歴史です。

②改正の歴史

ざっくり歴史を表にまとめると、下表のイメージです。

近年、よく話題に上がっているのは、2023年の改正(もしくは2021年改正以降)です。

ここから、実務に大きく影響も出るようになったため、
次はその内容をみていきましょう。

時代時期ひとこと何が変わったか実務の意味
電子保存を認める1998
(適用:1998)
電子OKの出発点電子保存制度スタート紙前提→電子も可に
紙を電子化できる2005
(適用:2005)
スキャンOKスキャナ保存導入(要件重い)ただし実務では使いにくい
2015〜2019
(適用:順次)
だんだん緩和署名要件見直し・スマホOKなどようやく現場で使えるレベルに
電子は電子で残す2021改正
(適用:2022〜)
電子は電子で保存電子取引データ保存が本格的な論点に紙保存では足りず、電子のまま残す運用が重要に
2023改正
(適用:2024〜)
現実対応検索要件緩和・猶予措置「回る運用」に調整
2025改正
(段階的に適用開始)
自動連携へデータ連携・自動保存を前提に保存+連携の質が問われる

電子帳簿保存法は「3つ」に分ける

理解するための出発点は、ここからです。

電子帳簿保存法は、ざっくり次の3つに分かれます。

ポイントは、以下の2つです。

  • 紙の証憑は、紙のままでOK
  • 電子データの保存は義務(ここが一番重要)
区分内容義務か?★ポイント
電子帳簿等保存会計ソフトのデータ保存任意優先度は低い
スキャナ保存紙をスキャンして
電子保存
任意紙は紙のまま
の保存でもOK
電子取引データ保存メール・PDFなどの
取引証憑の保存
義務運用ルールの設計
が重要(後述)

3つ目の「電子取引データ保存」については、範囲が広いです。

  • メール本文
  • メール添付PDF
  • Webサイトからダウンロードする請求書や領収書
  • クラウド経由の授受資料

などが含まれます。

そして、その保存方法は、以下の2点を守る必要があります。

  • 改ざんしにくくすること(真実性)
  • あとで探せること(可視性)

現実的に問題になるのは、

「税務調査で出せないこと」よりも、
「日々の経理で資料が見つからないこと」です。

実務では、ここが最もストレスになります。

ここを現実的にどうするかは、次の項目で解説します。
(すべてをクラウド会計ソフトに添付するのは、おすすめしません)

よくある誤解

紙面の資料(請求書とか)も、スキャンしてデータにしないといけないんだよね?

違います。紙は紙の保管のままでもOKです。

電子データは、印刷しておけばOKだよね?

違います。電子データを印刷して保存することは認められず、電子データのまま残す必要があります。

メールが証憑になる場合、そのままメールフォルダに置いておけばいいよね?

メールボックスに残っているだけでは不十分なことがあります。
電子取引データとして、改ざん防止と検索・提示ができる形で保存しておく必要があります。

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どう流れを整理していくか?

さて、ここまで制度の歴史・概要に触れてきましたが、
制度の本質(防ぎたい事故)は、以下の3点です。

  • 元データが消える
  • 後から書き換えられる
  • 必要なときに探せない

ここで大切なのはルールの設計と運用です。

  • リアルかネットか?
  • キャッシュかクレカか?
  • 証憑の取得経路がどうなっているか?

でルールを決めてみましょう。

同じクレジットカード払いでも、

  • Amazonのように自動で証憑取得できる取引
  • GoogleやAdobeのようにポータルからダウンロードする取引
  • メール添付で届く取引

では、保存方法も起票の考え方も変わります。
(具体的な中身は次の記事でご紹介します)

まずは、全体像を頭に入れておきましょう。

▼運用の具体例を記事にしました。

まとめ

電子帳簿保存法は、「制度を知る」だけでなく、
自社の業務に合わせて運用を設計することが重要です。

・どこまで対応すればいいのか
・クラウド会計との連携はどうするか
・証憑の保存ルールをどう決めるか

こうした点は、事業内容や取引形態によって最適解が変わります。

当事務所では、
「制度に合わせる」のではなく、「実務が回る形で整える」ことを重視しています。

  • どこまで対応すればいいのか分からない
  • クラウド会計との連携に悩んでいる
  • 証憑管理のルールを整理したい

こうした段階からでもご相談いただけますので、
お気軽にお問い合わせください。

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